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12月〜3月の降雪傾向 暖冬傾向でも、関東は黒潮大蛇行で雪が多い可能性

ウェザーニューズ発表 2018.11.20.

2018/11/20 12:05 ウェザーニュース

今季は、各地で初雪が遅れています。
エルニーニョ現象で暖冬傾向と見られていますが、この後の雪の降り方はどうなるのか。12月〜来年3月の降雪傾向をお伝えします。

■ 降雪見解のポイント ■

・関東甲信で“平年並か多い”
・エルニーニョ現象と黒潮大蛇行が降雪量の鍵
・12月後半は大雪の恐れ、交通機関への影響に注意

降雪量は関東甲信で平年並か多い予想

今シーズンの降雪量は、西日本・東海・北陸で“平年並か少ない”、関東甲信(長野県北部を除く)で“平年並か多い”、北日本で“平年並”となる予想です。
降雪量のポイントとなるのは、【1】エルニーニョ現象による偏西風の蛇行、【2】黒潮大蛇行です。

今冬の降雪量を左右する2つのポイント

【1】エルニーニョ現象による偏西風の蛇行

現在、2016年の春以来2年ぶりにエルニーニョ現象が発生しており、少なくとも2019年春にかけて継続する予想となっています。

・東日本を中心に暖冬傾向も、油断禁物
エルニーニョ現象が発生すると、東日本を中心に暖冬になる傾向があります。前回(2014年夏〜2016年春)発生した際は規模が大きく、特に2015/16年冬は各地のスキー場で雪不足が問題となりました。

今シーズンもエルニーニョ現象で暖冬傾向とはいえ、一時的に強い寒気が流れ込むタイミングがあります。シーズン中、寒気が強弱を繰り返し、気温の変動が大きくなる予想です。


・偏西風の蛇行が南岸低気圧の発生・発達を促進
エルニーニョ現象が発生すると、偏西風が日本付近で北に蛇行し、西・東日本への寒気の流れ込みが弱まります。加えて、太平洋側には南から暖気が流れ込みやすくなるため、西日本・東海・北陸では、降雪量が“平年並か少ない”とみています。

一方、北日本は平年並に寒気が流れ込み、降雪量も“平年並”となる予想です。

関東の大雪のほとんどが南岸低気圧によるものですが、南からの暖気の流れ込みは、南岸低気圧の発生・発達を促進。このため、関東甲信は雪の降る可能性が高まります。
エルニーニョ現象時の海洋・大気の特徴と日本付近への影響
【参考】エルニーニョ現象時の日本付近への影響

(1)エルニーニョ現象が発生すると、積乱雲が盛んに発生するエリアが東へずれて、ベンガル湾からフィリピン付近の対流活動が平年よりも不活発となる

(2)(1)により、偏西風が大陸上空では平年よりも南を通り、日本付近では北に蛇行する

(3)日本付近に南から暖気が流れ込み、低気圧の発生・発達を促進する
 →南岸低気圧の発生数が増加

(4)西・東日本は平年よりも寒気の流れ込みが弱まる

【2】黒潮大蛇行で関東平野部の積雪リスク高まる

昨年から東日本の南海上で黒潮大蛇行が続いており、12月いっぱい続くと予想されています。1月以降も続いた場合、南岸低気圧が首都圏に寒気を引き込みやすいコースをとることが多くなります。

黒潮大蛇行が発生した2017/18年冬は、1月22日〜23日未明に通過した南岸低気圧の影響で、東京では4年ぶりに20cmを超える積雪を観測し、関東を中心に大雪となりました。

関東甲信は、南岸低気圧の増加とコースの特徴から降雪量が多くなる可能性がありますが、気温が平年並か高くなることを考慮すると、降雪量は“平年並か多い”と予想しています。特に積雪リスクが高まるのは1月下旬〜2月の予想です。

12月後半は大雪の恐れ、交通機関への影響に注意

石川県金沢市(2018.2.28.)
全国的な雪のピークは、12月後半です。
12月後半は強い寒気が南下し、北陸や北日本の日本海側では大雪に注意が必要となります。また、瀬戸内や京阪神、濃尾平野でも積雪の可能性があります。交通機関に大きな影響が出る恐れもあるため、今後の最新情報をご確認ください。
>>この先、3ヶ月の長期見解