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結露防止と空気の潤い 両立させるには

2018/11/20 16:16 ウェザーニュース

朝晩の冷え込みが強い季節になってきました。これからのシーズン、窓の結露が悩みのタネという方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、空気の乾燥も気になるから、空気の潤いも欲しい…。

果たして両立は可能なのでしょうか。

結露の原因は「空気が冷える」こと

室内の温度分布のイメージ
部屋の中が暖かいから結露が…というわけではありません。
実際、窓の結露を取り去るには、窓を温めてあげれば良いのです。車のデフロスターを思い出してみてください。温風や電熱線で窓を温めてあげると曇りが取れますよね。

なぜ窓に結露が出来るかというと、同じ室内でも窓の周辺は周囲と比べて室温が低いからなのです。ガラス窓や金属サッシなどは熱を通しやすいため、窓を閉めていても熱を外に逃がしているというわけです。

室温が下がると結露が出来る理由

室温20℃で湿度60%の部屋があるとします。この60%は「相対湿度」と呼ばれる数字です。空気中には水蒸気を含むことが出来る量の限界が決まっていて、その限界までのうち何%含んでいるかという意味です。空気に対する水の割合ではないので、100%は水の中という意味ではありません(笑)

具体的にこの部屋の中だと、縦横高さ1メートルの空間に約10グラムの水分(水蒸気)を含んでいることになります。この10g/㎥を「絶対湿度」と呼びます。
ちなみに、水蒸気は目に見えません。

この部屋の中で、窓際では空気が冷えて10℃になってしまったとします。
空気は温度が下がると水蒸気を含める限界も少なくなる性質があります。つまり、同じ10グラムの水蒸気を持っていても、空気が冷えるとだんだんその限界に近づいてしまい、「相対湿度」は上がってしまうのです。
10g/㎥の水蒸気を含む空気の相対湿度
グラフを見ると、室温が下がるにつれて相対湿度は上昇して、15℃では約80%になり、約11℃で100%に届いてしまいます。

湿度が100%になると、それ以上空気は水蒸気を含むことが出来なくなってしまいます。さらに冷やすと、余った「水蒸気(気体)」は、「水滴(液体)」と「熱」として空気から放出されてしまうのです。
ここで出てきた水滴こそが「結露」というわけです。

つまり…結露が出来ると、空気中から水分が失われていることになるのです!結露は空気の乾燥を招いているわけです…。

窓の外側には結露が出来ない理由

窓の外はもっと温度が低いのに、なぜ内側にだけ結露が出来てしまうのでしょうか。
天気予報で聞く湿度を思い出してみてください。気温は10℃でも湿度は30%程しか無かったりしますよね。これを絶対湿度に直すと、水分量は縦横高さ1メートルの空間に約3グラムたらず…。
つまり、もともと冬の屋外は屋内と比べて水分が少なく乾燥しているというワケなのです。

それでも、強く冷え込んだ日には、このわずかな水分でさえ湿度が100%になってしまうこともあり、冷えやすい部分に霜が降りたり、大気中に水滴(液体)が漂う「霧」になったりするのです。

潤いを保ちつつ、結露を防ぐには

二重窓(写真=時事通信フォト)
結露を防ぐ方法は大きく2つ。それは、
「室内の水分を減らす」
「窓辺が冷えないようにする」
のどちらかです。

前者を実行するのは簡単で、窓を開けて換気をしてやれば良いだけです。
ただし、同時に室温も下がってしまうので、換気中に窓辺などが結露で濡れてしまうこともあります。そして、文字通り部屋は乾燥してしまいます…。
※これを解決した、「ロスナイ」などの熱交換型換気機器も開発されています。

ですので、換気も大事ではありますが、結露対策には後者の「窓辺が冷えないようにする」がメインといえそうです。

これを実行するには、
・窓下ヒーターで窓周辺を暖める
・二重窓、樹脂サッシなど断熱性の高い窓にする
・室内に空気の流れをつくる

などが有効になります。
室内に空気の流れを作れば、窓周辺でだけ室温が下がるのを防ぐことも出来ますし、天井付近に溜まる暖かい空気を有効に使うことも出来ます。

——
結露を防ぐことは、空気中から水分を逃がさないことにも繋がり、潤いを保つことにもなるわけです。
これらを意識すれば、この冬は結露との戦い方が見えてくるかもしれません。
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