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冬にインフルやノロが流行る理由 ウイルス「不活化」までの寿命とは

2020/02/21 08:51 ウェザーニュース

インフルエンザ、ノロウイルスによる食中毒、主に乳幼児が感染して風邪症状を起こすRSウイルスなど、冬はウイルスによる感染症が流行します。
咳やくしゃみなどで患者の体の外に出たウイルスが感染を引き起こすのですが、ウイルスの寿命はどれくらいなのでしょうか?

誰かの細胞内でしか生き残れないウイルス

「細菌は適度な湿度と温度、栄養があれば生存・増殖できます。だから食中毒菌などは弁当箱の中で増殖するのです。しかし、ウイルスは人や動物の細胞内でしか生存・増殖できません。咳やくしゃみなどで体外に出たウイルスは、誰かに感染して細胞内に入らない限り生き残れないのです」と語るのは、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。

では、人に感染できなかったウイルスはどうなるのでしょうか?

「人や動物の体から出たウイルスは、一定の時間を過ぎると不活化(ふかつか)する、つまり死滅します。寿命を迎えたと言っていいでしょう。その寿命はウイルスによって違い、短いものもあれば、驚くほど長いものもあります」(吉田院長)

体外で1ヵ月以上生きるウイルスも

ウイルスの寿命は多くの研究機関が調べています。以下、代表的なウイルスの寿命を紹介します。

【インフルエンザウイルス】
ウイルスが付着した表面の状況(平滑か凸凹か)や気候条件(温度、湿度など)、付着したウイルスの状態と量によっても変わりますが、通常の飛沫が付着した場合には、およそ2〜8時間と考えられます。

【ノロウイルス】
気温が20℃では1ヵ月前後ですが、4℃だと2ヵ月間感染力を保ちます。

【RSウイルス】
温度変化に弱く、55℃で5分間、37℃で24時間、4℃で4日間後に90%が感染力を失います。

【アデノウイルス】
流行性角結膜炎(はやり目)などを流行させるウイルスです。何かの表面に付着したものは、紙の上で10日、モノの表面で3〜8週間生存することがあるとのデータがあります。


「インフルエンザやノロウイルスは低温・乾燥の環境では寿命が延びます。それが冬に流行する理由です。手洗いとマスクなどで冬の感染症を予防してください」(吉田先生)

参考資料など

CDC「2009 H1N1 Flu ("Swine Flu") and You」/Doultree J.C.,Druce J.D.,Birch C.J.,Bowden D.S.,Marshall J.A..Inactivation of feline calicivirus, a Norwalk virus surrogate. Journal of Hospital Infection 1999,vol.4,no.1/菱木はるか 他:小児看護 2005;28(5):603-10.【7897】/ Kampf G, Todt D, Pfaender S, Steinmann E, Persistence of coronaviruses on inanimate surfaces and its inactivation with biocidal agents, Journal of Hospital Infection, https://doi.org/10.1016/j.jhin.2020.01.022.