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今さら聞けない?
放射冷却のメカニズム

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2018/10/31 07:34 ウェザーニュース

季節が進むに連れて、朝晩を中心に冷え込みが強まってきました。
これからの時期、冷え込んだ朝や夜を表現するとき、「放射冷却によって気温が下がり」などという解説をよく耳にします。今回は、この放射冷却現象についてメカニズムをご紹介します。

地球の熱が宇宙へ逃げていく

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地球は日々太陽の光を受けています。冷え切った宇宙の中で地球が暖かいのは、太陽光線のエネルギーを大地や大気が吸収することで熱を得ているからです。
一方で、地球は赤外線と呼ばれる目に見えない光として、熱を宇宙空間へと放出しています。
太陽光線を受け続けても地球が熱くなりすぎないのは、降り注ぐ太陽光線と地球全体から放出される赤外線とのバランスが保たれているからです。

昼間は地球から出ていく熱よりも太陽から受ける光のほうが強いため、地面は温められます。
逆に、夜は太陽光線はなくなるのに対し、地球からは赤外線として熱が放出され続けるために地面は冷えていきます。

このように、地面から熱が放出されて冷えることを放射冷却と言います。
放射冷却は冷え込んだ朝に限らず起きていて、それが顕著にあらわれたかどうかが気温の低下に影響しているのです。

雲は「掛け布団」の役目を果たす

放射冷却は、太陽から受ける熱が地球から出る熱を下回れば起きますが、なぜ冷え込む時とそうではない時があるのでしょうか。

その原因のひとつは「雲」の存在です。放射冷却は、晴れて雲がない時に顕著に起こります。

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雲がある場合は、地面からの赤外線をいったん雲が吸収し、その一部を再び地面に向かって放出します。
つまり地球から出ていくはずの熱を跳ね返す形になり、その結果、気温の低下が妨げられるのです。雲が掛け布団の役目を果たしていると言えるでしょう。
一方、晴れていると地面の熱は雲に邪魔されることなく上空へどんどんと逃げていきます。このため晴れた日は冷え込みやすいのです。

また、冷え込む条件はほかにもいくつかあり、「空気が乾いていること」、「風が弱いこと」などが挙げられます。
空気が湿っている、つまり水蒸気が多いと、水蒸気が雲と同じような役目となり、冷え込みを弱めます。
そして風が強いと、地面付近の冷えた空気が上にある暖かい空気と混ざり合うために、これも気温の低下を妨げます。

これからの季節、放射冷却の起きやすい条件がそろった夜は一段と寒くなるため、しっかり暖かくしてお休みください。
» 今夜の冷え込みは

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