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花粉症に効果テキメン!「舌下免疫療法」 治療開始は11月末までに

2018/10/13 10:39 ウェザーニュース

10月1日、ウェザーニュースは、昨シーズンの飛散量と2018年夏の気象状況から、2019年シーズンの全国花粉飛散傾向を発表しました。

2019年のスギ・ヒノキの花粉飛散量は、全国的に平年並か、平年より多い予想です。西日本の一部で平年をやや下回る地域もありますが、全国平均では平年の6割増となり、特に、東日本を中心に予想飛散量が平年の1.5〜3倍になるとみています。
>>2019年シーズンの花粉飛散傾向

免疫療法 始めるなら11月末までに

その花粉症を根治させるのが免疫療法。スギ花粉のエキスを長期にわたって体内に取り入れ、スギ花粉に慣れることでアレルギー反応を起こさなくするのです。以前は注射(減感作療法)しかなかったのですが、2014年に舌の下にスギ花粉エキスを垂らす舌下免疫療法が登場しました。

今年6月には錠剤による舌下免疫療法も始まりました。自宅でできる手軽さから現在約9万人が治療を受けていますが、新しく始める人はスギ花粉が飛散する2ヵ月前、11月末位までに開始するのがよいとされています。

治療開始時期は6月〜11月末

3年前から舌下免疫療法を行っているせたがや内科・神経内科クリニック(東京都世田谷区)の久手堅司(くでけん・つかさ)院長によると、「スギ花粉が飛んでいるときに治療を開始すると、エキスの花粉と飛んでいる花粉両方の影響を受けて花粉症の症状が悪化する可能性があります。そのため、治療開始時期は毎年6月初めから11月末になります。この時期を逃さないでください」

液体と錠剤、どちらがよいの?

舌下免疫療法は、「シダトレン」(液体)あるいは「シダキュア」(錠剤)という薬が使われます。シダトレンは薬液を舌の下に垂らして2分保持してから飲み込み、シダキュアは錠剤を舌の下に1分保持してから飲み込むもので、どちらも1日1回の服用です。どちらがよいのでしょうか。

「シダトレンは冷蔵庫に保管する必要があるため携帯に不向きで服用を忘れることもあります。シダキュアは常温保存でよいので携帯できて、5000JAUの錠剤だとシダトレンの2.5倍の薬剤成分になるので、私はシダキュアを勧めます。ただし、シダトレンは1度に4〜8週間分を処方していますが、今年6月に登場したばかりのシダキュアは1度に2週間分しか処方できません。2週間ごとに通院が難しい人はシダトレンがいいかもしれません」(久手堅院長)

初回にアレルギー検査

舌下免疫療法は、初回にスギ花粉アレルギーかどうかを調べる血液検査を行います。

「患者さんがスギ花粉症でないと保険が適用されないので血液検査が必要ですが、2~3年以内に他の医療機関で行った検査結果でもOKです」(久手堅院長)

さらに初回は、舌下免疫療法でアレルギー反応など副作用が出ないかをチェックします。

「患者さんにはクリニックでシダキュアかシダトレンを服用していただき、30分ほど様子を見ます。アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、失神など)を起こす人には処方できませんが、ノドのイガイガや口のかゆみ程度なら嚥下しないで吐き出すか、抗アレルギー薬を併用しながら、舌下免疫療法を始める人もいます」(久手堅院長)

舌下免疫療法の自己負担は?

料金は医療機関によって違いますが、目安は初回が初診料と血液検査で約6000円、その後は2週間ごとに通うとして再診料と薬代(院内処方)でシダキュアが1120円、シダトレンが1070円になります。

舌下免疫療法は3年間続けることが前提ですが、久手堅院長によると「8割の人は症状が軽減しています。1年、2年、3年と続けるほど症状が軽くなっています。途中で通院しなくなった人もいますが、効果がなかったから通院をやめたのか、それとも花粉症が治ったから通院しなくなったのか、残念ながらわかりません」(久手堅院長)

舌下免疫療法を始めるなら、今年は11月末頃までが期限の目安。シダキュア・シダトレンを処方してくれる医療機関は、舌下免疫療法相談施設検索サイトでも調べることができます。

東日本を中心に、6年ぶりの大量飛散となる恐れがあるため、ここ数年、花粉症の症状が軽かった方も油断せず、2019年シーズンは早めの対策がおすすめです。

参考資料など

舌下免疫療法相談施設検索サイト:https://www.torii-alg.jp/mapsearch/cryptomeria.html