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「季節性うつ病」かも?回復の決め手は「幸せホルモン」

2018/10/05 11:42 ウェザーニュース

秋が深まると、気分が落ち込んで物悲しくなる、気力が低下して仕事や勉学が手につかない、朝起きるのがつらく昼間だるいといった兆候に心当たりがあれば、季節性うつ病かもしれません。
季節性うつ病から回復する方法を専門医に伺いました。

日照時間が短くなることが原因

「季節性うつ病の原因はいくつか考えられます。1つは秋から冬にかけて日照時間が短くなることです。そのため春になると、それまでの落ち込みがウソのように元気を取り戻す人がいます」と語るのは横浜相原病院(神奈川県横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長です。

太陽光を浴びると脳内物質のセロトニンの合成が盛んになります。別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが増えれば気分も高揚します。しかし、秋から冬にかけて昼間の時間が短くなり、太陽光も弱くなると、セロトニンの合成が低下して気分が沈んだり、やる気が失われたりするのです。

「季節性うつ病は、高揚した気分が続いた夏の反動という面もあります。夏は海や山に出かけたり、恋が花開いたり、いわばお祭り気分の季節ですが、そんな気分はいつまでも続きません。その反動で気分が落ち込む、いわば宴の後のむなしさや寂しさというわけです」(吉田院長)

朝の散歩でセロトニンを合成

季節性うつ病は、重くなると薬物療法や心理療法が必要ですが、「軽ければ朝の散歩だけでも回復することがあります」という吉田院長が続けます。

「日照時間が短くなることが季節性うつ病の原因の1つなので、治療用の照射装置が市販されています。5000〜1万ルクス(照度の単位)の光を毎朝30分〜1時間浴びれば2週間ほどで効果が出るとされています。しかし、朝の散歩で陽を浴びれば十分です」

朝日の照度は1万ルクス、曇った朝でも5000ルクスあるので、セロトニンの分泌を促進するのに十分です。ちなみに、昼間は晴天なら10万ルクス、曇天でも3万ルクスあるので、なるべく戸外で陽を浴びてください。

トリプトファンが多い食材を摂る

セロトニンの原料になるのが必須アミノ酸のトリプトファンです。トリプトファンが不足すると、いくら陽を浴びてもセロトニンは合成されないので、積極的に食事で摂る必要があります。
トリプトファンを多く含む食材は、牛・豚・鶏などの肉類、カツオ・マグロなどの魚、ヨーグルト・チーズなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品です。気分が落ち込んだときは、こうした食材を積極的にとって陽を浴びるようにしてください。

心動かされる体験をする

吉田先生は、うつ病などで通院する患者さんに「生活記録」を書いてもらっているといいます。

「その日をどう過ごしたかを記録し、その日の気分を10点満点で何点かを自分で評価するのです。人と語り合ったり、薦められた本を読んだり、観たかったDVDを観たり、何でも結構ですが、心動かされる感動があると高い評価になり、落ち込んだ気分を引き上げることができます」

季節性うつ病は重症化すると精神科や心療内科などの専門医に診てもらう必要がありますが、軽ければ自力で回復することもできます。朝の散歩や昼間も戸外で陽を浴びるといったことを試してみてください。