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東洋医学からみる月の満ち欠けと体調の関係

2018/09/24 12:50 ウェザーニュース

月が綺麗な季節がやってきました。狼男伝説にも見られるように西洋では昔から満月が人を狂気に駆り立てる、とされてきましたが、月と人間の関係に注目してきたのは西洋医学だけではありません。

東洋医学から見た、月の満ち欠けに合わせた人体の変化とその対処法を源保堂鍼灸院の瀬戸郁保先生に伺いました。

月の引力の影響

東洋医学では自然と人は相似関係にあるとして、その2つのつながりを見出してきました。2000年前に書かれた中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』にはすでに、「人体も月に影響される」としています。

「例えば患者の治療法については、『天と地にはその巡り方に法則がある。その天光(太陽・月・星)に合わせるべき』とあります。太陽については、1年を太陽の位置で分ける二十四節気、それに従った体作り、鍼の刺し方があります。

月についても同様に法則があります。60~70%が水分でできている人体は、潮の満ち干きなどと同じように月の引力の影響を受けているのです」(瀬戸先生)

では実際に月の満ち欠けと人体にはどんな関係があるのでしょうか。

新月→満月:生活習慣を見直すチャンス

「新月を過ぎたら満月に向けて“準備”をしましょう。この時期、満月に向かって、少しずつ体のエネルギー(気)が増えて、全身を巡りはじめます。月が満ちていくのに合わせて、体調も昇り調子になり、この時期が1番体調や精神を整え、リラックスさせるのに適しているのです。

今一度、生活習慣を見直して、朝ごはんをしっかり食べる、夜更かししないなど規則正しい生活に戻すといいでしょう」(瀬戸先生)

満月時:活発化するタイミングだが、空回りに注意

満月の頃は“収穫”の時期。エネルギーがピークに達し、血液の巡りもよくなり、栄養や酸素などが体を巡り日々の活動も活発化するといいます。仕事や趣味などに生かしたいものですね。

「ただしエネルギーが充満しているので、その分、空回りをしやすかったり、気分が落ち込んだりしてしまうこともあります。それを紛らわそうとして甘いもの、脂っこいもの、アルコールなどに走ってしまうのは厳禁。溜め込む力が強く、むくみやすく太りやすい時期でもあるのです。

普段あまり外に出ない人も30分ぐらいのウォーキングなどで軽く汗を流したり、美術館巡りをして心の充実をはかるといいでしょう。アロマテラピーなどを取り入れてエネルギーを循環させるのもオススメです。どうしても甘いものを食べたくなったら、利尿作用、女性ホルモンを増やす作用がある小豆(あんこ)を食べるといいでしょう」(瀬戸先生)

満月→新月:デトックスを心掛けて

満月でエネルギーが充満し、活発に活動した後は“回復”が必要になるといいます。

「エネルギーは一本調子で増えるわけではないので、野放図に使って良いものではありません。使った分を回復させるという循環が必要です。そこで、この時期は休息しながら、次の計画を立てるのに良い時期となります。

体もエネルギー不足で無理がきかなくなってきているので栄養、睡眠が必要です。できれば12時前には寝るように心がけたいですね。食生活は3食しっかり摂り、山芋や豚肉など滋養のあるものを食べるのがベストです。また溜め込んだものを捨てる時期ですので、白湯を飲むなどのデトックスに適した時期でもあります。不要なものは捨てる、など身の回りのことを見直してみてもいいでしょう」(瀬戸先生)

9月は「中秋の名月」。月を愛でるのによい季節でもあります。古来、月の光は人間にとって生命や生活に大きな影響を与えてきました。あらためて“月光浴”などをして気力を養いたいものです