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ゲリラ豪雨でマンホールから水が吹き出すワケ

2018/09/19 06:00 ウェザーニュース

ゲリラ豪雨など大雨が降るとマンホールの蓋が吹き飛んだり、マンホールから水が噴水のように吹き上げることがあります。そのような現象はなぜ起こるのでしょうか?

40〜50kgの鉄蓋も空を飛ぶ

1時間雨量が50mmを超える雨が降ると、マンホールの鉄蓋が吹き飛ぶことがあります。これは「エアピストン」と呼ばれる現象です。

ふだんの下水道管は水がチョロチョロとしか流れていませんが、大雨が降ると下水管は流入する雨水で一杯になり、下水道管内にあった空気がマンホールの穴の中で圧縮され、重量が40〜50kgもある鋳物製の鉄蓋を吹き飛ばすのです。

最近のマンホールの蓋は、ガス抜き用の穴が空いたタイプや、蓋を一定量浮上させて隙間から排気させるタイプなどが登場し、エアピストン現象は減っています。17日(月)の夕方に関東南部で発生したゲリラ豪雨でも、マンホールから水が吹き出す映像がニュースなどで流れましたが、流れてくる映像からはエアピストン現象は見られませんでした。

下水道管の流量を超えると水が吹き出す

ゲリラ豪雨時などさらに増水すると、マンホールから噴水のように水が噴き出すことがあります。下水道管は高いところから低いところに流れるようにつくられていますが、大雨で下水道管の流量が限界を超えると、途中のマンホールから水が吹き出してしまうのです。

また、ガス抜き用の穴が空いた鉄蓋はその穴から、浮上するタイプの鉄蓋は隙間などから、水が吹き出すことがあります。

吹き出すのは雨水? それとも汚水?

マンホールから吹き出している水は、雨水でしょうか、それとも汚水でしょうか。実は下水道には「合流式」と「分流式」があります。合流式の下水道管には雨水と汚水が流れています。分流式は雨水用の下水道管と汚水用の下水道管が別々になっています。
雨水用のマンホール。ガス抜き用の穴が開いている
汚水用のマンホール
マンホールから吹き出すのは、合流式の場合は雨水と汚水が混ざったもの、分流式の場合は雨水だけということになります。街の中を通る古い下水道は合流式が多いといわれています。

ちなみに、マンホールは英語(manhole)です。人が孔(あな)の中に入って作業することから命名されましたが、日本語に直訳した「人孔(じんこう)」はあまり使われていません。

参考資料など

日本グランドマンホール工業会「下水道用マンホールふたの安全対策について」