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日本人にとって、満月が特別だったのはなぜか!?

2018/09/20 17:27 ウェザーニュース

京都の桂離宮や銀閣寺が月の満ち欠けや昇ってくる時間・場所(月の運行)と密接に関係していることを知っていますか?

桂離宮は壮大なお月見装置?

桂離宮の主な書院群はお月見をするための方位に向けて建てられているのです。この謎に迫っていくと、名月を愛でるために建てられた離宮像が浮かび上がってきます。実は月見台を中心にした建物の方位は、絶景の月が眺められるよう、設計されていたのです。

桂離宮が造られた1615年の中秋の名月の月の出の方位は月見台の向きと完全に一致しています。つまり、桂離宮は一年でもっとも月を美しく見ることができる中秋の名月に照準を合わせて立てられた、いわば「観月のための壮大な装置」だったというのです。
文化人として知られた足利義政が建てた銀閣寺もやはり、月を愛でるための「月の御殿」と呼ばれています。

満月の明るさを楽しむ心

かつて電気もなかった頃、日没後は、あたりは真っ暗になっていたことでしょう。夜の月明り、特に満月の明るさは現代の私たちでは想像できないぐらい華やいだものだったのです。では、高貴な人たちは満月の夜、何をして過ごしたのでしょうか。

裏千家今日庵文庫長の筒井紘一(つついひろいち)さんによると「月を愛でるのが当時の人にとって“ハレ”でした。お茶事(ちゃじ)や歌会が行われたのでしょう。お茶事は4時間以上かけて繰り広げられる二幕仕立てのドラマでした。一幕目は炭を入れ、香を焚き、花を活けて客人を招く準備をし、酒と食事をゆっくり味わった。二幕目はしつらいの模様替えをして、お茶をふるまったのです」

月が昇っている間中、こうした饗宴を楽しんでいたとすれば何と優雅な時間だったのでしょう。

古くから日本人にとって自然の美しさや心情を表現するのに欠かせないのが「月」の存在だったのです。