facebook line twitter mail

秋のキノコシーズン到来! 間違えやすい「毒キノコ御三家」に注意

2018/09/12 11:30 ウェザーニュース

そろそろ秋のキノコシーズンです。山歩きだけでなく、身近な緑のある公園などでも、キノコが生えているのを目にすることが多くなります。中にはいかにも食べられそうで、美味しそうなキノコを見かけます。しかし素人判断は危険! そこで、厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」と東京都福祉保健局の情報から、この時期に食用と間違えやすい代表的な毒キノコを紹介します。

キノコの素人判断は非常に危険で、報告されているだけでも2006年から2015年までの10年間で約1500人が毒キノコで食中毒を起こし、5人が亡くなっています。そして、キノコ中毒の9割が9~10月に発生しています。少しでもこれらのキノコと似ているな、と思ったら絶対に食べないでください。

ツキヨタケ(キシメジ科ツキヨタケ属)

ツキヨタケ、いかにも食べられそうだが毒を持つ!
地方によってツキヨ、クマベラ、ワタリ、ドクモタシなどと呼ばれるツキヨタケは、秋にブナやイタヤカエデなどに重なり合って発生します。傘の直径が10~20cmの大型で、暗闇の中、青白く怪しく光るのが特徴です。食用でおなじみのシイタケやヒラタケ、ムキタケに似ているので食中毒事例が多いキノコの一つです。
暗闇で光るツキヨタケ
【見分け方】
◆傘:初め黄褐色で、成熟すると紫褐色~暗紫褐色。半円形、まれに円形で濃い色の小鱗片が付く。肉厚。
◆ひだ:白から薄い黄色で幅が広い。
◆柄:太く短い柄が傘の側方に付くものが多いが、中央に付くものもある。ひだの付け根につば様の隆起帯がある。色は傘より淡い色。肉の内部は暗紫色~黒褐色のしみがある。このしみは不明瞭なものやないものもあるので注意。
◆中毒症状:食後30分~1時間程で嘔吐、下痢、腹痛などの消化器系の中毒症状、幻覚やけいれんを伴う場合もある。

クサウラベニタケ(イッポンシメジ科イッポンシメジ属)

有毒のクサウラベニタケ
地方によってメイジンナカセ、イッポンシメジ、ウススミなどとも呼ばれるクサウラベニタケは、夏から秋にかけて広葉樹の周辺に発生します。傘が3~10cm程度の大きさで、粉臭さ、ガス臭さがあります。間違えやすい食用キノコとして、ホンシメジ、ハタケシメジなどがあります。他の食用キノコと見分けるのが特に難しいことから、メイジンナカセ(名人泣かせ)と呼ばれるほどです。

【見分け方】
◆傘:灰色~黄土色(赤みを帯びるものあり)、茶色。乾燥時は絹のような光沢、湿潤時は濡れたような色、ムラがあり、粘性がある。
◆ひだ:白色から成熟すると肉色。
◆柄:絹のような光沢あり、比較的細い、縦スジがある。柄の中がストローのように空洞で、もろくて指でつまむと容易につぶれるものが多いが、中が詰まっているものもあるので、注意。
◆中毒症状:嘔吐、下痢、腹痛など消化器系中毒を起こす。発汗などムスカリン中毒の症状も現れる。

ニガクリタケ(モエギタケ科クリタケ属)

有毒のニガクリタケ。ナメコと区別がつきにくい
地方によってハナ、ドクアガタケ、スズメタケ、ニガッコなどと呼ばれるニガクリタケは、広葉樹および針葉樹の枯れ木や倒木などにまとまって発生します。2~5cm程度の小型で、その名の通り、肉が非常に苦いのが特徴です。間違えやすい食用キノコとして、ナメコ、クリタケ、ナラタケなどがあります。
有毒のニガクリタケの群生
【見分け方】
◆傘:まんじゅう形からほぼ平らに開く。表面は湿り気を帯び、やや吸水性で黄褐色。中心部が黄褐色で周辺部が硫黄色。周辺部にはじめクモの巣状の被膜の名残を付ける。
◆ひだ:柄に対してくっついており、密集している。色はオリーブ色のような薄い緑。
◆柄:細長く下部は繊維状で光沢が見られる。
◆中毒症状:食後3時間程度で強い腹痛、激しい嘔吐、下痢、悪寒などの症状が現れる。重症になると死亡する場合がある。
食用と間違えやすい毒キノコはほかにもたくさんあります。またここで紹介した毒キノコも環境や状態などによって、必ずしも上記のような写真や特徴ではない場合も少なくありません。毒キノコで中毒を起こさないために、この5か条を肝に銘じましょう。

参考資料など

厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」、東京都福祉保健局HP「キノコ食中毒」