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大西・熊本市長に聞いた! 防災・減災とツイッターが役立つ理由

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2018/09/01 11:53 ウェザーニュース

首長自らツイッターを駆使し、情報発信をしてきた大西一史熊本市長。7月の西日本豪雨災害では、「熊本地震の際、全国から物資が大量に届き本当に有難い反面、発災直後のマンパワー不足で物資のハンドリングで大混乱。恐らく今現地はそういう状況にあると考えられます。

物資の洪水を防ぐためにも言いにくい事ですが、個人の方々の支援は、今は物資より義援金など金銭的な支援が一番良い方法だと思います」と投げかけました。大西熊本市長に災害時のツイッターの効用と注意点を聞きました。

Q.「西日本豪雨」、「大阪北部地震」でいち早くツイッターで発信されていましたが、その反響はいかがでしたか?


「震災当初、被災地では混乱が生じ、情報伝達が上手くいかないことを熊本地震の際に経験しています。そのため、現地自治体が、被災した皆さんのために十分な活動が出来るようツイッターで発信することで側面から支援を行いました。

被災地の方を含め多くの方からの反響があり、経験を活かした情報提供や支援について、感謝の言葉や、熊本市から派遣した職員に対するねぎらいの言葉をいただきました」

Q.行政が運用する有事でのツイッターで感じていることは何ですか?


「スマホやパソコンが普及し、容易に情報を入手できる時代になったなかで、ツイッターなどのSNSは、非常に情報の速達性や拡散力があるツールのひとつと考えています。また、熊本地震時には『ライオンが逃げた』、大阪北部地震では『シマウマが逃げた』など、有事の際には、誤報やデマ等、市民や行政を混乱させる情報が出回ることが絶えません。

市の広報課など行政が発信する情報は、正確であり、信頼性も高いのですが、発信までの手続きなど時間を要すことが多く速達性の面で課題が残っていると思っています。正確かつスピーディーに情報発信ができるよう、日頃から生活情報などを発信することで、いざという時の利活用につながる努力が必要だと感じています」

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大西一史熊本市長

Q.行政が運用する平時でのツイッターとは?


「災害が発生したからといって、普段やっていないことを急にやろうとしても無理があります。平時は、市民に親しまれるような役に立つ面白い、役所っぽくないツイートができるよう、職員の発信力をつける必要があるのではないでしょうか」

Q.市長がツイッターを使う最大の理由は何でしょうか?


「日常的には、何気ないツイートで多くの方々とコミュニケーションをとれること。多忙ななかでも手軽に短文で発信できるツイッターは使いやすいこと。そして情報の拡散力があるので、市政に関心が薄い人々にも熊本市の情報や市長としての活動が伝わりやすいことでしょうか」

Q.ツイッターで特に心がけている点は何でしょうか?


「熊本地震では、被災者、避難者等、市民の皆様へ一刻も早く情報提供を行うために自身の責任でつぶやきましたが、発信前には一呼吸おき、情報の正確性等の確認など細心の注意を払いました。

また、自治体のトップが万一間違った情報を発信した場合、訂正や修正がしにくいというリスクがあって、かえって被災者に混乱をもたらすことがあるので、発信には十分注意しなければなりません。さらに発信した内容が、後で誤解を受けないような表現になっているか、文章にも気をつけなければなりません。

普段は、あまり堅苦しくないツイートで親しみやすさを心がけているつもりです」

Q.熊本地震から2年、防災・減災の観点からツイッターをどう活用されていこうと思っていますか?


「熊本地震では、発災当初の情報収集として活用しました。現時点で最も必要なものは何か、リアルタイムで被災者の状態を把握するための情報収集の手段として利用しました。熊本地震という大災害の経験から、ツイッターの拡散力と即時性を再認識しました。

市長のツイッターはもちろん、昨年立ち上げた市の公式ツイッターやこの4月に開設した熊本市公式LINEアカウント、そして、従来からの公式ホームページやFacebookとともに、SNSを有効に活用し、災害情報の積極的な配信に努めたいと考えています」

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熊本地震から2年後の2018年4月15日に震災対処実働訓練が行われた

Q.ツイッターを使っていない市民への対応については?


「SNSに依存するのではなく、あくまで基本情報は、ホームページなどに集約して、市民の皆様には、そこを見ていただくことが重要だと思っています。また、多様な手段(テレビ、ラジオ、新聞などのマスメディア)を使って市民の生命、財産を守る情報発信をするべきだと考えています」

Q.現在、熊本城の復旧はどこまで進んでいますか?


「熊本城復旧基本計画に基づき、熊本城天守閣の復旧工事は順調に進捗しています。大天守については、先般、石垣の積み直しがスタートし、現在6階部分が姿を現しています。本年9月頃には4階から6階までの外観が見えるようになり、2019年秋頃には外観復旧が完了する予定です。

今後20年かかる復旧計画ですが、被害状況や復旧過程を公開していくための(仮称)復興見学通路の整備にも取り組み『復旧と活用』を両立し、観光資源としての早期再生を図っています」

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復旧中の熊本城(2018年8月29日撮影)

Q.2018年8月現在、熊本市復興の課題は何ですか?


「被災から2年、仮設住宅などで不自由な暮らしをされてきた約5千世帯の方々が恒久的な住まいへ移転され、徐々に震災前の生活を取り戻しつつある一方で、今なお仮設住宅等で暮らすことを余儀なくされている多くの被災者の生活再建が喫緊の課題です。

そのため、本年度は被災された全ての方々が復興を実感できるよう、住まい再建を最優先に、最大限の支援を行なっていくとともに、『復興の加速化』を図っていきます」

ツイッターの有用性を最大限に活用されている大西熊本市長の実践力から学ぶことは多いと思います。災害列島に暮らす私たちにとって、ツイッターを上手に正しく使いこなすことは、減災を考える上での必須科目なのかもしれません。

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