東京大学地震研究所の所長が提唱
「関東大震災69年周期説」を唱えたのは、東京大学地震研究所の河角廣(かわすみ・ひろし、1904〜72年)所長です。関東大震災から69年後といえば1992年。誤差は前後13年とされるので、1979〜2005年の間に75%の確率で関東大震災級の大地震が起こるというのです。
>> 大地震の発生率(2018年度最新版)
なにしろ東京大学地震研究所の所長が提唱したのですから、多くの人は信じました。東京都は1970年代、大地震の被害が江東・墨田・荒川の下町3区に集中すると予測を立てて防災対策をこれらの地区に集中。江東区白髭東地区の再開発では、都営集合住宅を屏風のように配置して、屏風の内側の防災拠点となる広場を火災から守るという計画を完成させました。
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なにしろ東京大学地震研究所の所長が提唱したのですから、多くの人は信じました。東京都は1970年代、大地震の被害が江東・墨田・荒川の下町3区に集中すると予測を立てて防災対策をこれらの地区に集中。江東区白髭東地区の再開発では、都営集合住宅を屏風のように配置して、屏風の内側の防災拠点となる広場を火災から守るという計画を完成させました。
2種類の地震を混同していた
しかし、関東大震災は起きませんでした。69年周期説の誤りを元東京大学地震研究所の都司嘉宣さんが解説します。
「河角さんは、神奈川県鎌倉市で9世紀以降に検知した震度5以上の地震年表をつくり、確率論の手法を使って69±13年の周期性があるとしたのです。しかし、南関東で周期的に発生する地震は2種類あるのです。1つは70〜80年に1回発生するM7クラスのプレート内地震、もう1つは約200年に1回発生するM8クラスのプレート間地震です。河角さんは、この2つを混同していたのです」
「河角さんは、神奈川県鎌倉市で9世紀以降に検知した震度5以上の地震年表をつくり、確率論の手法を使って69±13年の周期性があるとしたのです。しかし、南関東で周期的に発生する地震は2種類あるのです。1つは70〜80年に1回発生するM7クラスのプレート内地震、もう1つは約200年に1回発生するM8クラスのプレート間地震です。河角さんは、この2つを混同していたのです」
M7クラスの地震に警戒を
約200年間隔で起こるプレート間地震は、相模トラフで発生しています。