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自転車の傘差し運転は道路交通法違反?

2018/08/28 10:52 ウェザーニュース

雨の日は危険が潜んでいます。大きな事故が起きない限りニュースになりませんが、その一歩手前の「ヒヤリ・ハット」を経験した人は少なくありません。東京都は2015年1月、都内在住の15歳以上の男女3000人にアンケート調査を行い、雨の日のヒヤリ・ハット体験を聞きました。その結果は……。

ブレーキが利きにくい、スリップしやすい

雨の日に自転車に乗ったことがある1974人のうち、760人(38.5%)がヒヤリ・ハットや危害の経験があったと回答しています。最多は、走行中にスリップして転倒したり、転倒しそうになったという体験です。雨の日はブレーキの利きが悪くなり、道も滑りやすいのです。

具体的な事例を見ましょう。

「降雨時に自転車に乗っていて、坂道でブレーキが効かなくなり、スリップしたのちに転倒して大きな岩に顔をぶつけて救急車で運ばれた」(17歳・男性)

「小雨時に自転車に乗っていてカーブを曲がろうとしたところ、スリップで横転。擦り傷を負ったが、大した怪我ではない」(33歳・男性)

雨の日は視界が悪くなる

「小雨時、自転車で歩道を走行中、視界が悪かったため、街路樹にぶつかり、足首を捻挫した」(18歳・女性)

「前方から来るライトのせいで前にいる人に気づかなかった」(18歳・男性)

「小雨が降っていて、傘を差さずに自転車に乗っていた。メガネをしていたため視界不良となり、人にぶつかりそうになった」(27歳・女性)

自転車の傘差し運転は道交法違反

「スリップして転倒した。頭をひどく打ち付けたみたいで、転倒したときの記憶は未だに戻らない。気がついたときは救急車で運ばれていた。外傷性のくも膜下出血ということで3週間入院した」(67歳・女性)

「坂道を傘を差して走っていたら、ハンドルをきりそこなって、民家の塀に激突した」(49歳・女性)

雨の日に傘を差して自転車に乗ることは道路交通法と都道府県条例で禁止されています。道交法に「自転車の傘差し運転禁止」はないのですが、道交法71条の「運転者の遵守事項」に「公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めた事項(道交法第71条第6号)」として都道府県公安委員会が定める規制に委任しているのです。

そして多くの都道府県では、傘差し運転はもちろん、傘を器具で自転車に固定すること、携帯電話・スマホ・イヤホン・ヘッドホンを使用しながらの運転を禁止し、違反すると5万円以下の罰金に処せられます。

雨の日の自転車運転は危険がたくさんあります。自分がケガをするだけでなく、人を傷つけることもありますから、雨の日の自転車運転はお控えください。