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川の事故ーなぜ「背浮き」が大切なのか?

2018/08/27 12:17 ウェザーニュース

夏といえばキャンプ。特に河原でのキャンプ&バーベキューが人気です。川のレジャーは、手軽に家族や友人たちと自然に親しめるところから、人気が高まっています。しかし、海に比べて川は身近なだけに、その危険性についてはあまり認識されていません。

川の事故は意外と多い

水難事故の死者・行方不明者を発生場所別にみると、1位が「海」で全体の56.6%、2位が「河川」(25.6%)、3位が「湖沼池」(8.4%)、4位が「用水路」(8.1%)。河川、湖沼池、用水路を合計すると42.1%になります。

また、子ども(中学生以下)だけの場合を見てみると、1位が「河川」で65.4%、次いで「海」(15.4%)、「湖沼池」(11.5%)、「用水路」「プール」(各3.8%)となります。子どもに限れば、河川での水遊びによる事故が最も多く発生していることがわかります(政府広報オンライン・2017年)。

大前提として、川に入って遊ぶ場合はライフジャケット着用が必須です。

しかし川辺でキャンプやBBQをする際に、万が一ライフジャケットなしで川に入ってしまった際の注意点をリバーカヤック歴30年のカヌーイスト飯岡雅男さんに聞きました。

川は常に変化している

川は刻々と変化しています。前日までの雨で水量が増えていたり、ここでは晴れていても、上流で雨が降れば川の水位は上がってきます。

「上流にダムがある場合は、放流により急激に増水することがあります。川では、天気の急変や急激な増水に注意を払わなければなりません。河川敷のバーベキューでも川幅の変化、増水に気をつけます。目的地の情報は天気予報で必ず確認しておくようにしましょう」(飯岡さん)

もし流されたら

川で流されてしまったら、慌てて立とうとしてはいけません。

「まず『浮くこと』です。状況にもよりますが、声を出して助けを呼んだり、手を挙げて人を呼ぶよりも、『浮くこと』を優先してください。流れていけば必ず浅瀬や岸に近づくことができます。こうした場合、アウトドア・サンダルやアクアシューズ、スニーカーなどを履いていると足が浮きやすいのですが、ビーチサンダルは流失してしまうのですすめられません」(飯岡さん)

「背浮き」のしかた

さらに、助かるためには上を向いて浮く「背浮き」の体勢を保つことが大切だと言います。

「息を吸いこんで、手を広げ、仰向けになって流れにまかせるのです。足は下流方向に向け、つま先は上に向けます。鼻と口を水面から出すためには、腰をそらしてあごを上げることです。できるだけ体から力を抜いて空を見上げてください。ここがポイントですが、できればプールなどで練習しておきたいものです」(飯岡さん)

もし、溺れている人を見つけたら

人が流されたとき、無理に川に飛び込んで助けに行くのは正解ではありません。

(1)119番通報/大きな声を出して協力者を呼ぶ
※119番通報を受けてから救急隊が現場に到着するまでの時間は、平均約7分といわれています

(2)浮くものを投げ入れる
▼2リットル程度のペットボトルに、少し水を入れたものが有効
▼ほかにも手元にあればロープ、クーラーボックスなど浮くものであれば何でも良い

(3)やむを得ず川に入る場合は、衣服は脱いで、必ず何か救命用具を確保する
▼助ける側の安全を確かめる(冷静になる)

大前提として、川に入って遊ぶ場合はライフジャケット着用が必須です。

現状では、この心得がなかなか浸透していません。特に子どもは親が目を離したすきに危険な場所にいることが多いもの。極力ライフジャケットを準備しましょう。

また、「子どもは静かに溺れる」というフレーズが話題になっていますが、ちょっと目を離したすきに助けを呼ぶこともなく溺れているのが子どもです。くれぐれも注意が必要です。