facebook line twitter mail

東京五輪マラソンの救世主!? アスファルトの新技術とは?

2018/08/30 10:41 ウェザーニュース

列島が記録的な猛暑に襲われ、2年後に迫る東京五輪での“暑さ”に心配の声が上がっています。対策の一つとして進められているのが、マラソンコースを含めた都内の道路の遮熱性舗装(しゃねつせいほそう)です。

“暑さ”は足元からも来る!

私たちが暑さを感じるのは、上から太陽に照らされる光(直達日射)だけでなく、地面や建物からの照り返し(輻射)、湿度などの影響があります。例えば、道路や駐車場などアスファルト舗装された場所では、午後になると暑さ指数が他よりも高くなり、夜まで続いてしまいます。

「アスファルト舗装の場所では、日中は輻射(ふくしゃ)により熱環境が悪くなります。太陽光に含まれる赤外線などを吸収して熱を蓄えてしまうため、午後に温度が上昇し、夜になってもなかなか冷めないのです」(AGCセラミックス株式会社・岡太浩さん)

ヒートアイランド現象は、都市では道路や建物が熱を溜め込むため、緑の多い郊外に比べ、中心部の気温が高くなってしまう現象です。夏の熱環境を考えるとき、舗装の影響は決して小さくないのです。

舗装で道路を涼しく保つ!?

暑さ対策に効果が期待されているのが、遮熱性舗装です。遮熱材を使った舗装により舗装路面の温度上昇を抑えます。
「太陽光を反射する性質の材料を使って舗装することで、日射エネルギーの吸収を低下させ、路面温度の上昇を防ぐものです。弊社の開発した「タフバーンCooL」と遮熱トップコートを組み合わせることで、真夏日に通常のアスファルト舗装に比べて温度を約10℃下げる効果がありました」(岡太さん)
「ちなみに、遮熱材料は路面に膜をつくるため、一般的なアルファルトに比べて車や自転車などが滑りやすく、摩擦によりすり減りやすいという弱点がありました。これも、高温焼成されたセラミックス材料を使った特殊な材料を組み合わせることで、すり減りにくく滑りにくい安全な舗装になっています」(岡太さん)

私たちの生活にも密接に関わる変化が、足元から静かに進んでいたのですね。

参考資料など

取材協力:AGCセラミックス、参考資料:「熱中症予防サイト(環境省)