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【今年の蚊】8月下旬以降に警戒すべき3つの理由

2018/08/22 05:54 ウェザーニュース

今年の蚊の動向が話題になっています。「今年は蚊にほとんど刺されない!」「猛暑で蚊も夏バテ気味では?」というのです。しかし、8月下旬以降は状況が一変するかもしれません。蚊に警戒すべき理由を3つ紹介します。

「まだ刺されてない」が22%

今年の蚊について、ウェザーニュースが調査を行いました。結果は、「まだ刺されてない」15%、「もう刺された」49%、「刺されたけど少ない」29%、「刺されていないけど見た」7%でした。つまり刺されていない人が22%いました。

2015年8月20日にも同種の調査を行っていますが、このときは刺されていない人は17%でした。調査実施日が今年は5日早かったのですが、まだ刺されない人が多かったのです。これはなぜでしょうか?

蚊が活発になるのは26〜32℃

金鳥の蚊取り線香で知られる大日本除虫菊によると、「ヤブ蚊と呼ばれるヒトスジシマカが活発になるのは26〜32℃ですが、気温がそれより高くなると動きが鈍くなります。茂みや草むらなどにいる蚊がジッとしていて人を刺すことが減るのです」

今年は蚊に刺されることが少ないのは、やはり猛暑の影響でしょうか?

「それもあるでしょうが、あまり暑くて外出を控える人が増えることも関係しているのではないかと思います」

しかし、気温が下がってくると蚊が活発になり、これまで人の血を吸わなかった分を取り戻すように、盛んに吸血する可能性が高くなります。これが8月下旬以降、蚊を警戒すべき1つ目の理由です。

捕集調査で8月初めに急増

川崎市は2002年から毎年5〜10月の期間、市内の公園などで蚊を毎週捕集していて、捕集した蚊の個体数を公表しています。

「私どもが蚊を捕集しているのは、蚊が媒介する感染症を予防するためで、デング熱やジカ熱などのウイルスを保有する蚊がいないかを調査しています。捕集した蚊の個体数は、あくまで参考値です」(川崎市感染症対策課)

というわけで、今年を含めて直近4年間の毎週捕集した蚊の個体数をグラフ化してみました。今年は7月まで少なかったのですが、8月になって増えたことがわかります。蚊の個体数がピークを迎えるのは例年8月の中旬から9月の中旬で、気温も下がって蚊の活動が活発になる時期にあたります。8月の下旬以降、蚊を警戒すべき2つ目の理由です。

国内でデング熱感染のリスクも

2014年8月下旬、厚生労働省はデング熱の国内感染者を確認したと発表しました。1945年以来69年ぶりのことです。以後、東京を中心にデング熱患者の確認が相次ぎ、感染者の合計は160人にのぼりました。

デング熱の国内感染は、海外でデング熱に感染して入国した人を刺した蚊がデング熱ウイルス保有蚊になり、その蚊に刺されることで起こります。デング熱患者第1号は東京・代々木公園で蚊に刺されたと推定されています。

海外と人の往来が増えるほど、海外の感染症が日本に持ち込まれるリスクが高まります。国土交通省・観光庁によると、訪日外国人旅行者数・出国日本人数は年々増加し、2014年には約3000万人でしたが、2017年には約4700万人、今年はさらに増加が見込まれます。蚊が媒介する感染症がいつ持ち込まれてもおかしくない状況です。

2015年にデング熱の国内感染が確認されたのは8月下旬でした。これが蚊を警戒すべき3つ目の理由です。

「今年は蚊が少なくて助かる」と言っていられるのは今のうちだけかもしれません。