facebook line twitter mail

【航空機の気圧と湿度】ボーイング787が快適なワケ

2018/08/22 10:41 ウェザーニュース

夏休みに飛行機を利用する人も多いでしょうが、「離着陸時に耳が痛くなる」「空気がカラカラで喉や鼻の調子が悪くなる」という経験をしたことはありませんか。この原因は、機内の気圧が下がり、湿度も低下するからです。

次世代中型ジェット旅客機として評価の高いボーイング787(以下、787)では、どう改善されたのでしょうか?

低圧・低湿度は飛行機の宿命

上空でポテトチップの袋がパンパンに膨らんだり、地上に戻るとペットボトルがひしゃげたりするのは、気圧が関係しています。航空機の巡航高度1万mでは、約0.2気圧になります。そのため機内を0.8気圧程度(気圧高度2000m)に保つことで、地上にいるときとの気圧差を少なくして、機内で過ごしやすくし、機体への負担も軽減しているのです。

湿度についても、巡航高度1万mでは、外気がマイナス50℃前後なので、機内湿度を5〜10%前後に下げないと結露して電子機器に影響が出たりするのです。そのため低圧・低湿度は飛行機の宿命とも言えるのです。

気圧差に強いカーボン製機体

低圧・低湿度を改善したのが787です。JAL広報部によると「787が巡航高度に達したときの気圧高度は約1800m、湿度は20%程度です。従来機より改善されていることは確かです」

787が低圧・低湿度を改善できたのは、機体がカーボン製だからです。「航空機を運航すると、外気圧と機内圧の差圧による力がかかりますが、繰り返し機体に加わる力に対して、カーボン素材が優れているため、上空での差圧を大きくできる、つまり機内圧をあまり下げなくて済むのです。湿度に関しても、787は加湿するシステムを備えています」(JAL広報部)

787はメイクの持ちが良い?

キャビン・アテンダントからは「787に搭乗するとメイクの持ちが良い(肌が乾燥しにくい)」「おしぼりが乾きにくく感じる」と評判は上々のようです。それでも気圧や湿度に敏感な人はどうしたらいいのか、JAL広報部に聞きました。

「飛行中に耳が痛いと感じられた場合は、つばを飲み込む、あくびをする、飴をなめるなどして様子をみていただき、それでも効果がなければ、強くやりすぎないよう注意しながら耳抜き(鼻をつまみ、口を閉じた状態で、鼻から空気を吐き出すように耳へ空気を送る)をしてみてください」

「機内は乾燥しているので、適度に水分を取るよう心がけていただき、コンタクトレンズを着用している方は点眼をするか、もしくはメガネのご使用をお勧めします。マスクを着用いただくのも効果的です」

航空機の機材は、予約時に確認できますが、運航上の関係で変更されることもありますのでご注意ください。

※ボーイング787は、中型機としては長い航続距離が特長。日本航空では、2012年4月22日に初飛行(成田-ボストン間)。従来の中型機に比べ約1.3倍、窓を拡大し、視界をワイドにしている。電子シェードは明るさに応じて5段階に調整でき、客室幅と天井高を拡大。さらに快適な湿度・気圧の設定を施している。