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プロが教える! 浴衣を美しく着るコツ

2018/08/17 11:40 ウェザーニュース

花火大会、夏祭り、夜店、ナイター観戦、夏のデートなど、浴衣は夏のアイテムとして定着してきていますね。しかし、どうしても浴衣や帯の柄や色を選ぶことに目が行きがちで着こなしについては後回しになっていませんか。

「銀座 ぽわるの着物」オーナーの優井染乃さんに浴衣を美しく着こなすポイントを伺いました。

Q.美しく見える着こなしを教えてください

「襟を抜きすぎない」のがポイント
「浴衣は現在、外出着としても定着していますが元々は寝巻です。だからこそ着こなしによってはだらしなく見えてしまうのです。一番大切なのは『自分の寸法に合っていること』。

丈はくるぶしあたりまであると美しい着こなしになります。さらに若い方は襟を抜きすぎず清潔感ある着付けが良いですね」

※襟を抜く=襟の後ろの部分を引き、うなじが見えるようにすること

Q.浴衣と着物の違いは?

「大きな違いといえば、浴衣は長襦袢(和服の下着)を着ません。浴衣は主に夏に着ます。素材も洗える素材でお手入れも簡単。帯も半幅帯を合わせるなど全体的に軽装になっています」

Q.着くずれしない着方は?

「浴衣を着るとき、特に若い人は胴回りが細いため、腰にタオルを巻くといいでしょう。これだけで浴衣が身体にフィットしてくれます。タオルは汗を吸い取るのにも役立ちます。痩せた男性や若い男性もこれをやると帯が落ちついて格好良くなります」

Q.上級者の浴衣の着こなしを教えてください

浴衣を引き立ててくれる夏物の名古屋帯
「これからお話するのは、よりきちんと見える大人の着こなし術です。(1)麻の白足袋、(2)半衿、(3)夏物の名古屋帯、(4)帯留め、です。浴衣でもこの4つが揃えば浴衣を夏の着物として着こなすことができます。名古屋帯がない場合は、半幅帯に帯留めを添えるだけでも違ってきます」

※名古屋帯=フォーマルな袋帯に対して、小紋や紬(つむぎ)に合わされることが多い

浴衣が涼しい理由

文化学園大学名誉教授田村照子さんによると、「浴衣が涼しいわけは、衣服内気候から見ても理にかなっています。直接肌をさらさず、浴衣はきっちり着るのではなく、襟首や身八ツ口(みやつくち=脇の下の空いている部分)から風が入るようにゆったり着るのが基本。浴衣と皮膚の間を風が通り抜ければ、体の熱が放散し、汗も気化して体温が下がるのです」。

浴衣の語源は湯帷子(ゆかたびら)といって、鎌倉時代に身分の高い人が入浴のときに着ていた麻の白地の単衣(ひとえ)がルーツ。庶民が浴衣を着るようになったのは、綿が日本で栽培されるようになった室町時代以降だといわれています。昔から日本の夏に適した衣服だったのですね。