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異例の進路を辿った台風12号 被害状況まとめ

2018/08/01 16:42 ウェザーニュース

2018年7月25日に発生した台風12号は、7月最後の週末(28〜29日)に本州の東側から接近、上陸し、西日本を西へ横断するという異例の経路をたどりました。そのため、隅田川花火大会が延期になるなど、週末イベントに大きな影響が出ました。(※)
詳しい被害について振り返っていきます。

大潮、満潮が高波を助長

図4、ウェザーニューズ波浪予測モデル
今回の台風では関東地方〜東海地方、東北地方南部の太平洋側で広範囲に渡り、波が高くなりました。特に台風が関東地方から東海地方の南海上を西進した28日の夜には相模湾周辺に南東からうねりを伴った高波が流入し、急激に波高が上昇。図4はウェザーニューズの波浪予測モデルによるシミュレーション結果です。相模湾周辺では、28日15時時点では波はまだそれほど高くないのに対し、20時には波高が大きく上がる様子が分かります。これは南東側に海が開けている相模湾に対し、台風の西進に伴って19時ころから、南東からのうねりを伴った高波が入りやすくなったためと考えられます。 またこの時期は、潮位が高い大潮の時期にあたり、また周辺の地域では波高の高くなったタイミングと満潮のタイミングが近くなりました(28日の小田原の 満潮時刻は18:02)。この潮位の高まりも、高波による被害を助長したと考えられます。

〔関連〕大潮と重なり東京湾でも高潮に注意

上陸した台風としては雨量は多くない

図5、28日9時〜30日0時の積算雨量
台風の通過により、30日0時までに東日本、西日本では多いところで200〜300mmの雨が降りました(図5)。台風の進路の右側にあたり、湿った空気が長時間流れ込んだ関東地方の山沿いや山梨県、静岡県、台風の上陸、通過した三重県や奈良県で100mm超を観測。奈良県の宇陀市では宇陀川が増水し、県道が崩落しました。ただ、この雨量は上陸した台風の事例としてはあまり多くはありませんでした。付近に台風が上陸した三重県の南伊勢では、29日1時に89.5mm/hの猛烈な雨を観測していますが、10mm/h以上の強い雨を観測したのは29日0〜3時のわずか4時間だけで、激しい雨は長くは続きませんでした。これは、台風が時速30〜45kmと比較的速い速度で移動し、発達した雨雲のかかる時間が短かかったためと考えられます。
〔関連〕奈良県で猛烈な雨 記録的短時間大雨情報を発表

津で最大瞬間風速34.5m/sを観測

東海地方では、強風によって住宅の屋根が吹き飛ばされる、飛来物により窓ガラスが割れるなどの被害が発生しました。被害があった津(三重県)、蒲郡(愛知県)では、台風の中心が通過した29日の1時頃にそれぞれ最大瞬間風速34.5m/s、28.2m/sを観測。 近畿地方でも、台風の強風によって建物の一部破損や倒木などの被害が発生しました。被害があった奈良、枚方(大阪府)では、台風の最接近時に最大瞬間風速25m/s以上の風を観測しています。これらの風速のピークも台風の中心の通過タイミングであり、台風の中心の通過によってもたらされた暴風であると思われます。


まだまだ台風の季節はこれからです。これで終わりと油断することなく、引き続きこまめに台風情報や天気予報などをご確認ください。