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猛暑で海水温も上昇!クラゲに影響は?

2018/07/30 16:01 ウェザーニュース

7月中旬以降の猛暑によって海も暖められ、関東や東海の沖合は7月1日に比べると海水温が3~4℃も上がって28℃前後となっています。

海水浴客で賑わうこれからのシーズンに注意しなくてはいけないのがクラゲです。すでにクラゲの大量発生が話題となっていますが、海水温の上昇と関係があるのでしょうか?

クラゲの水族館として人気が高い「加茂水族館」(山形県鶴岡市)のクラゲ担当飼育員・佐藤智佳さんに、今夏のクラゲ発生について聞きました。

海水温が27℃を超えるとクラゲは減る?

「7月19日に横浜市の川で大量発生したクラゲが話題になりましたが、これはミズクラゲで、川に流入してくることは珍しくありません。大量発生する条件は明確になっていませんが、海水温の上昇や潮の流れが関係しているようです」と佐藤さんが話します。

では、この夏の猛暑でクラゲは爆発的に増えるのでしょうか?

「ミズクラゲは海水温の上昇に伴って成長しますが、海水温が高過ぎると、死骸が多くなります。水族館関係者からは、具体的には表面温度が27℃にもなると見かける数が減るとの報告があります」(佐藤さん)

ミズクラゲも油断禁物!

ミズクラゲ
ミズクラゲは海水浴場でもよく遭遇します。可愛らしい見た目で水族館でも人気のようですが、「もし見かけたら注意が必要です」と佐藤さんは警告します。

「ミズクラゲに刺されてもほとんど痛みは感じない、とよく言われますが、沖縄の海に現れる猛毒をもつハブクラゲの4分の1程度の毒を持っています。刺された症状には個人差があり、大人が刺されて平気な場合でも、子どもは肌が腫れ上がってしまうといったケースもあるので、油断は禁物です」(佐藤さん)

アンドンクラゲ、カツオノエボシは要注意

アンドンクラゲ
一般的にお盆頃からよく出現するのがアンドンクラゲです。「電気クラゲ」とも呼ばれ、刺されると電撃のような痛みを感じます。「お盆を過ぎるとクラゲが出る」と言われるのは、このアンドンクラゲのことで、他のクラゲはもっと早い時期から出ているのです。
カツオノエボシ
また浜辺では、青いビニール袋のような姿をしたカツオノエボシに要注意。刺されると激痛が走り、命が危ぶまれることも。

「アンドンクラゲは透明で傘の直径2~3cmと小さく、気づきにくい存在ですが、触手は長く、刺されるとかなりの痛みを伴うので注意してください。カツオノエボシは台風直後に浜辺に打上げられることが多いです。見つけたら決して触れないようにしてください」(佐藤さん)

クラゲに刺されない対策

一定範囲にクラゲが入らないようにクラゲネットを設置している海水浴場もあります。クラゲ除けローションも市販されていますが、それよりもラッシュガードやウエットスーツなどを着用し、肌の露出を少なくすることが重要です。

もしも刺されてしまったら…

刺された場合は患部をこすらず、まずは応急処置としてクラゲの触手を抜くことが大切です。

「素手で触ったりこすったりすると毒が拡散する恐れがあるので、手袋やピンセット、割り箸などを使って、こすらずに患部を海水で洗い流しましょう。その後、真水で洗ってください」(佐藤さん)

ただし、あくまでも応急処置です。クラゲの種類や痛み具合にもよりますが、基本的には病院に行くことをおすすめします。複数回刺されると「アナフィラキシーショック」という重度のアレルギー反応を引き起こすこともあるので要注意です。