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軽い熱中症には、このツボで即効対処!

2018/07/19 07:01 ウェザーニュース

「真夏になると、頭がぼーっとして、どうも判断力が鈍くなりがち…」ということはありませんか?それは、熱中症の初期症状かもしれません。そんな場合は早めに対処して症状を悪化させないことが大切です。具体的には水分補給をしたり、冷房を適切に使用しましょう。

さらに自分で手軽にできる対処法として「ツボ押し」もお勧めです。そこで今回は、頭痛がしたり、頭がフラフラするなどの熱中症の初期症状に効くツボを、源保堂鍼灸院の瀬戸郁保先生、瀬戸佳子先生に伺ってきました。

夏の「暑さ」は人を元気にするが、その一方で……

東洋医学では、夏は万物が成長・生育し、繁栄・繁茂していく季節と捉えられています。その気候は「炎熱」を特徴とし、1年でもっとも陽気が盛ん。あらゆるものが活動的なエネルギーに満ちている時季です。

ただ、この季節の特徴である「炎熱」も行き過ぎれば「暑邪」となって、私たちの体にさまざまなダメージを与えます。その1つが熱中症です(東洋医学では、「中暑(ちゅうしょ)」といいます)。

熱中症とは、簡単に言えば、体の中に熱がこもることによって起こる諸症状のことです。

私たちの体は、寒いときには熱をつくり、暑いときには熱を放出することで体温を一定に保っています。ところが、暑さの厳しい環境に長時間いるなどして体温が上がりすぎると、そうした体温調節機能が乱れ、熱をうまく放出できなくなるのです。

そして、体に残った熱が、東洋医学的でいうところの「暑邪」として、体にさまざまな症状を引き起こすわけです。

頭がぼーっとするのは「暑邪」のせい?

たとえば、暑邪には「上昇する」という性質があります。そのため、暑邪(炎熱)は体の上側に昇りやすく、それが頭痛などの症状となって現れます。また、暑邪には「発散する」という性質もあり、その発散した熱によって大量の発汗が促されます。その結果、体が水分不足となり、口の渇きや、脱水症状に陥ります。

その他、暑邪は、東洋医学の基本的な考え方の1つである「五行説」(この世の森羅万象を5つに分類するという考え方)では、五臓の「心」に影響を与え、その機能を低下させやすいとされています。

心は血液循環の他、精神活動もつかさどる場所といわれていますから、そこが暑邪によってダメージを受けると、血流が悪くなったり、意識が朦朧としたり…といったことも起こるのです。

体の熱を冷ますツボ「陽谷」(ようこく)

このように、熱中症は、体に溜っている熱(暑邪)が大きな要因ですから、その主な対処法としては、「その熱を体の外に出してあげる」となります。 

重度になれば専門的な治療が必要ですが、初期の段階では、涼しい場所に移動し、体を休め、水分補給をするといった応急処置が一般的です。そして「ツボ押し」でも症状を緩和していくことができます。

その1つが、「陽谷」です。このツボは、手の甲側、小指のラインと手首が交差するあたりのくぼみにあります(ボコっと出ている骨の小指側の際あたり)。陽谷は体内の熱を外に放散するツボとされ、暑邪の熱を取る効果が期待できます。細い血管にも通じるので、暑さで動悸がするときなどにも有効です。

心を安定させるツボ「通里」(つうり)と「内関」(ないかん)

また、精神を安定させるツボとして、「通里」と「内関」があります。通里は、手の平側、小指側の手首の一番太いシワから肘に向かって親指1本分のところにあります。内関は、手の平を広げた時に手首から肘にかけて縦に走る2本の筋の真ん中、手首にある一番太いシワから肘に向かって指3本分の位置になります。

ともに精神安定のツボですから、熱中症気味で頭がぼーっとしているときや、どうも判断力が鈍っているときなどにお勧めです。また、通里には陽谷と同様、熱を放散する作用もあります。

親指でじわ~と10秒押すのがコツ

ツボ押しをする際には、親指で10秒くらいを目安に、じわ~と圧をかけ、左右両方で行います。これを5セットくらいやると効果的です。

暑さで頭痛がしたり、頭がうまく働かなかったりといったときには、涼しいところで体を休めて、しっかり水分補給をした上で、これらのツボ押しで、体内の暑邪をしっかり取り除いていきましょう。

参考資料など

取材先:源保堂鍼灸院(http://genpoudou.com/)、瀬戸郁保氏、瀬戸佳子氏