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西日本豪雨の被害 水害危険エリアの80%を占める広域で発生か

2018/07/09 19:40 ウェザーニュース

活発化した前線によって約4日間続いた大雨で、西日本中心にかつてないほどの広範囲で浸水・土砂災害が発生しています。

ウェザーニュースでは被害の全容を一刻も早く明らかにし、救出、復旧作業や減災につなげていただくため、被害状況に関する緊急アンケートを現地の皆様に対し実施致しました。(調査期間:2018年7月7日〜 回答数:22,395人)

複数のビッグデータ分析の結果、国や各自治体が定めている水害リスクが高い地域のうち、80%を占める広域で冠水や浸水被害が発生した可能性が高いと言えそうです。

4つのデータを重ねて判明した、歴史的水害の実態

今回、緊急アンケートでは「一番水位が高かったときの浸水状況」を伺っており、集まった回答をマッピングしています。
>>浸水被害状況マップを見る

このマップに下記のマップデータを照らし合わせて分析しています。

・浸水想定域
国や県が雨により河川がはん濫した場合に、浸水が想定される区域
・低位地帯
周辺部よりも標高が低く、排水が困難である地帯
・積算降水量
一連の大雨の降り始めから降り終わりを7月4日18時〜8日18時の約4日間の降水量

この3つのデータと実態となる緊急アンケートのマッピングデータを根拠として、水害リスクの高いエリアと今回の大雨で雨量が嵩んだ地域で何が起こったのかを分析しました。

水害リスクの高いエリアと浸水被害の報告エリアが一致

西日本を中心とした全体感でみると、水害リスクの高い浸水想定域および低位地帯に浸水害が集中しているのがわかります。

岡山・広島・愛媛などは80%もの広域で浸水被害発生

特に河川が氾濫した広島、岡山、愛媛に腰以上の高さの浸水被害が目立っています。

次に水害リスクの高いエリアのうち、4日間累計で400mmを超える雨が降った割合を計算してみました。

割合が高かった府県を上から並べてみると以下のようになります。

高知県 82%
京都府 81%
広島県 80%
岡山県 75%
兵庫県 74%
愛媛県 62%
大阪府 62%

その上で緊急アンケートによる被害状況の分析から、水害に脆弱かつ400mm降ったエリアは水害に見舞われた可能性が高いと裏付けられるわけです。

国や自治体で定められている浸水想定域や低位地帯の災害ポテンシャルが、今回の豪雨により実害として実証された形です。

水害リスクに関わるデータ活用を

今後も本緊急アンケートのデータは随時公開してまいります。
復旧・救助作業、また今後の二次災害防止のため各機関の対応に少しでも助けとなればと思います。

また今回影響が小さかった、あるいは無かった地域では、ハザードマップや地域の過去災害歴を調べてみるなど、今一度リスクに対して出来ることはないか検討していただければと思います。
>>第一弾の調査報告はこちら