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高気圧が心身を快調にするワケ

2018/07/12 09:54 ウェザーニュース

高気圧におおわれると雲ひとつない青空が広がります。そんな日は気分が良く、心身も爽快になります。それは青空のせいでしょうか。日の光のせいでしょうか。いいえ、高気圧のせいなのです。

気圧カプセルで試行錯誤

「高気圧が体に良いことはわかっていましたが、最適な気圧を見つけるのに時間がかかりました」と語るのは、ウェザーニューズ気象病顧問アドバイザーで愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤純先生です。

気圧が低くなると頭痛や関節痛などの「天気痛」に悩む患者さんを診ていた佐藤先生は、気圧が高いと良くなるだろうと、患者さんに1.3気圧に加圧し、酸素濃度を高めた加圧カプセルに入ってもらいました。スポーツ選手などが「疲れが取れる」「傷が早く治る」と利用していたものです。

「予想に反して、加圧カプセルで良くなる人はほとんどなく、かえって関節痛がひどくなったり、耳が詰まって痛いという人ばかりでした。以来、気圧を上げる速度をゆるやかにしたり、高気圧の程度を調節したりと試行錯誤しました」

自律神経を安定させる「快気圧」とは?

佐藤先生が「天気痛」の治療に最適な気圧を見つけたのは7年前のことです。

「1気圧は1013hPaですが、天気の良い日は気圧が高くなります。そこで1013hPaより高い気圧にいろいろ変化させて実験してみたところ、マイルドな高気圧(快気圧と呼びます)に自律神経を安定させる作用があり、自律神経の乱れを引き起こす気象病を改善する効果があることがわかったのです(特許出願中)」

佐藤先生の“快気圧”に調節したカプセルに30分入るだけで交感神経が安定し、「ぐっすり眠れる」「視力がよくなった」などの効果が1週間続くこともあるそうです。

気圧が高い日の過ごし方

「地上で一番気圧が高いところをご存知ですか?それはイスラエルとヨルダンの間にある湖の死海です。湖面の標高がマイナス約400mですから、気圧は当然高くなります。世界的なリゾート地ですが、日本の温泉地のように保養で訪れる人もいます。気圧が高いので心身を癒してくれるのでしょう」
気圧カプセルや死海でなくても、快晴の日は気圧が上昇します。そんな日は心身ともに快調です。

「気圧が高く快適な日は健康な人なら何をしても結構ですが、天気痛など体の不調を抱えている人は、体調が良いからといって家事に精を出したり、きつい運動をすると体調を崩しやすいので控えてください。こういう日はウォーキングやストレッチなど軽い運動をしたり、ゆっくり風呂に浸かるなどして過ごし、気圧が高い日は体調を整え、次に来る低気圧を乗り越えてください」

日本の夏は高気圧におおわれる日が増えます。高温多湿というハンディはありますが、高気圧がもたらす恩恵を享受してはどうでしょうか。