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日本代表の天敵は雨!? 過去のW杯では苦い経験も

2018/06/14 07:23 ウェザーニュース

過去のワールドカップ(W杯)では雨に苦しめられてきたサッカー日本代表。ロシア大会では6月19日にサランスクでコロンビアと、24日にエカテリンブルクでセネガルと、28日にボルゴグラードでポーランドと戦います。

ロシアは国土の多くが大陸性気候のため、年間降水量は少なく、モスクワの6月の降雨量は東京の半分くらい、平均気温は17.0℃です。果たして、日本サッカーは、ロシアのお天気を味方につけることはできるのでしょうか。

過去のW杯では雨で苦い経験も

思い出してみましょう。0-1で敗れた2002年の日韓大会の決勝トーナメント1回戦のトルコ戦。宮城スタジアムでは、6月の割に冷たい雨が降りしきっていました。W杯のスタジアムとして認定されるには、ピッチの3分の2が屋根で覆われている必要がありますが、この日は風も強く、デザイン上、大きく湾曲した宮城スタジアムの屋根では防ぎきれないほどの雨が、風に吹かれて観客席に降り注いでいました。

サポーターたちは客席でずぶ濡れになりながら声援を送り、試合後は悲しみに打ちひしがれ、寒さに震えながら帰路についたものです。

1-2の逆転負けを喫した2014年ブラジル大会初戦のコートジボワール戦も記憶に新しいところです。本田圭佑のゴールで早い時間帯に先制したものの、スコールが降り注いだ劣悪なピッチ上で日本のパスはつながらず、時間の経過とともに相手のフィジカル主体のサッカーが幅を利かせていきました。

逆転ゴールを許した場面では、「(雨のせいで)思ったよりボールが跳ねた」と、GK川島永嗣が悔しさをあらわにしました。元日本代表の伝説的FWである釜本邦茂氏は試合後、「全員が雨と湿度で体力を奪われ、前半時点で疲れ切っていた」と分析しています。

また、ブラジル大会では、降りしきる雨のなかで2010年大会の王者スペインがオランダに5-1で敗れるという波乱も起きました。

オランダは従来、スペインと並ぶ攻撃的サッカーを持ち味とするチームですが、この大会に限っては中盤でのパス回しをほとんど放棄してカウンターに徹しました。一方、自らのスタイルを貫いたスペインは、豪雨の餌食となってしまったのです。世界的GKであるイケル・カシージャスは濡れたボールの処理に失敗し、相手にボールを奪われて失点しました。

雨は「日本らしいサッカー」に不利?

日本の現状のスタイルにとっても、雨という気象条件は相性が悪い可能性があります。日本代表はヴァヒド・ハリルホジッチ監督を解任し、攻撃サッカーを志向する西野朗監督を迎えました。ハリルホジッチ監督は前回大会、オランダ同様の中盤を省略したカウンターサッカーでアルジェリアをベスト16に導きました。

日本代表にもそのスタイルを持ち込もうとしましたが、本番を前に解任され、その成否は分からないままです。一方、西野監督は「日本らしいサッカーをしたい」と、本田圭佑や香川真司らパス・サッカーと相性の良い人材を呼び戻しました。この「日本らしさ」が、前回大会に通じる「パス回し」のことを意味するのなら、雨天の時の戦いは厳しいものになるでしょう。

実際、西野監督の初陣となった5月30日のガーナ戦も雨天のなかで行われ、思うようにパスがつながらず、ロングボール主体の相手のカウンター攻撃を防ぎきれずに0-2で敗北を喫しました。

日本サッカー協会の相談役である川淵三郎氏は、「ボール回しなど日本代表らしさを取り戻した」と評価しましたが、その内容は、前回大会のコートジボワール戦と酷似していて、日本のサッカーが時計の針を戻してしまったかのようでした。

“二度あることは三度ある”か、“三度目の正直”か。今大会、雨天時の戦いでは、トルコ戦やコートジボワール戦と同じ結果にならないことを願ってやみません。

文:志原卓(サッカーライター)
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