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【6月8日は「成層圏発見の日」】成層圏トリビア

2018/06/08 12:19 ウェザーニュース

6月8日は「成層圏発見の日」です。1902年のこの日、フランスの気象学者テスラン・ド・ボールが「成層圏」を発見しました。

「成層圏」という言葉は知っているけど、何だっけ? という方も多いのでは?そこで、ウェザーニューズの気象予報士・森田に成層圏について聞きました。この記念日を機に、「成層圏」に少し詳しくなってみませんか?

そもそも空のどの部分が成層圏?

「地球を取り巻く大気は、温度分布の異なるいくつかの層に区分されます。私たちが活動する高度約11kmまでが『対流圏』と呼ばれ、文字通り大気が対流しています。対流圏の上が『成層圏』となり、高度約11~50kmの範囲にあたります」と言う森田は成層圏について次のように解説します。

成層圏の場所は目で見て分かる?

対流圏と成層圏の境目は雲を見ていると分かりやすいです。これからの季節、モクモクと発達する入道雲(積乱雲)を遠くから眺めていると、ある高さから雲が横に広がり始めます。その形は鍛冶屋が使う鉄床に似ているので「かなとこ雲」と呼ばれているのですが、これは積乱雲が成層圏の底面に到達したことを意味しています。

成層圏の温度は?

成層圏の下のほう(高度約11~20km付近)は、マイナス56℃前後でほぼ一定。そこから上にいくにつれ温度が上昇し、最上部付近ではマイナス3℃程度になります。

成層圏の下の対流圏や成層圏の上の中間圏は、上にいくほど温度が下がっていきますが、成層圏はその逆で、上にいくほど温度が上がります。これは成層圏にある「オゾン」と呼ばれる気体が、紫外線のエネルギーを吸収しているためです。

成層圏の「オゾン」の働きは?

成層圏には「オゾン」が多く存在しており、とくに高度約20~25km付近に、多くのオゾンが集中しています。太陽から発せられる有害な紫外線を、このオゾンが吸収してくれるおかげで、地球上の生物は生きていくことができるのです。

成層圏の天気は?

基本的に「晴天」です。雲の発生や降雨などの気象現象は、成層圏の下の対流圏で起きています。

地表からの水蒸気は対流圏で雲となり、その雲は雨や雪となって地表へ戻ってしまうので、成層圏には雲をつくる水蒸気がほとんど存在しないのです。ただ、「真珠母雲(極成層圏雲)」という、成層圏特有の雲が発生することはあります。

旅客機はなぜ成層圏で飛ばない?

旅客機は通常、高度約10km付近を飛んでいます。これは対流圏と成層圏のほぼ境目にあたります。ではなぜ旅客機はさらに高度を上げて、空気抵抗が少なく、気象による不利益も少ない成層圏を飛ばないのでしょうか。

その理由は、成層圏は空気が薄くなりすぎるためです。空気が薄いと、エンジンを噴射させるのに必要な空気を、十分に取り込めないのです。

意識することの少ない「成層圏」ですが、空を見上げた際にはぜひ、雲よりもっともっと高い位置にあるこの「成層圏」に、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
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