研究者のテニスシューズにかかった液体とは?
アメリカの3M(スリーエム)社がフッ素化合物の研究に力を入れていた1950年代初頭のお話です。さまざまなプロジェクトでの実験が試みられていた1953年、前年に入社したばかりの新人研究者パッツィー・シャーマンは、フッ素化合物について実験をしていました。
彼女は加熱処理によってゴム粒子が液体中に分散した状態の水溶液を作り、その試料を同僚のジョーン・マリンに渡そうとしたところ、マリンが手を滑らせてガラス瓶を床に落とし、液体を自分が履いていたテニスシューズにかけてしまいました。
彼女は加熱処理によってゴム粒子が液体中に分散した状態の水溶液を作り、その試料を同僚のジョーン・マリンに渡そうとしたところ、マリンが手を滑らせてガラス瓶を床に落とし、液体を自分が履いていたテニスシューズにかけてしまいました。
水をはじく現象に「何かある!」とひらめき
液体は頑固にこびりつき、水や石鹸などで洗っても取ることができません。シャーマンは、この液体を布に塗り、乾燥させた後に水をかけてみると、水は布にはじかれていきました。
この面白い現象に「何かある!」と考えたシャーマンは、その後実験を重ね、1956年にスコッチガード™撥水・防汚スプレーが誕生したのです。
改良が進み現在は多様なラインナップ
兵頭さんによれば、「市販の防水スプレーは、主に“撥水”機能を有しています。繊維の目をふさがずに水を玉状にはじくのが“撥水”で、通気性を失わずに、水ばかりでなく、泥や油などの汚れもはじく効果もあります」とのこと。
「1956年の発売後、防水スプレーは多くの改良がなされてきました。さまざまな雨のシーンや素材に合わせたラインナップがあり、それぞれ成分と処方が異なるので、用途に適したものを選びましょう」と兵頭さんは呼びかけています。
参考資料など
取材/スリーエム ジャパン株式会社