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今年の台風発生数は27個前後 長寿台風が増える傾向に

ウェザーニュース発表 台風傾向2018

2018/06/28 11:02 ウェザーニュース

夏に向かうに連れて気になる台風シーズン。今年の台風の発生は、7月から増え始め、9月をピークに本州付近への接近上陸の危険性が高まるとみています。また、秋頃は長寿台風となる傾向。不規則な進路をとることが多く、進路や雨風の影響に注意が必要です。

詳しい見解を解説します。

台風の発生位置

今シーズンは、6月以降、フィリピンの東海上で対流活動が活発になり、多数の積乱雲が発生しやすくなります。これらの雲が集まり、台風となります。そのため、台風の発生位置は、平年と同様にフィリピンの東海上となるケースが多くなる予想です。
秋にエルニーニョ現象が発生した場合、台風の発生位置が南東にずれる傾向があります。また、台風の発生から消滅までの寿命が長くなる傾向もあります。長寿台風は、不規則な進路をとることが多いため、進路予想や雨風の影響に注意が必要です。
シーズン前半は、フィリピンの東海上で対流活動が活発なため、その北側に当たる日本付近では下降気流が発生し、太平洋高気圧の勢力を強めます。今シーズンは、太平洋高気圧の北への張り出しが平年に比べると強まる予想です。(図1)

月別の台風進路

図2、月別の台風進路傾向
台風は高気圧の縁を時計回りに進むため、台風が発生した場合、平年よりもやや外回りの進路となり、7月~8月は沖縄から中国大陸へ向かう進路か、東シナ海を北上する進路が多くなりそうです(図2)。9月以降、偏西風が南下してくると、台風は本州付近へ向かう進路が多くなる予想です。関東に接近する可能性が高まるのもこのタイミングです。

台風の発生数

今シーズンの台風発生数は、平年並の27個前後の予想です(これまでに発生した3個を含む)。ただ、シーズン後半は台風発生数が平年より少なくなる可能性があります。今後、北西太平洋の主な台風発生域の対流活動は、6月〜7月はおおよそ平年並、8月〜10月も平年並の予想ですが、不活発になる可能性もあります。
 現時点では、8月以降の海面水温の予測はばらつきが大きく、変化することもあります。このため、シーズン後半の台風発生数も大きく変わることがあると考えられます。
時期でみていくと、台風は7月から増え始め、9月頃をピークに本州付近への接近・上陸の危険性が高まるとみています。

今シーズンの台風発生数の予想の背景

図3、エルニーニョ現象 模式図
(1)ラニーニャ現象は春のうちに終息し、その後は中立状態で推移するか、秋にエルニーニョ現象が発生すると予想

→エルニーニョ現象が発生すると、7月〜9月の台風発生数が平年より少なくなる傾向があります。(図3)
図4、ラニーニャ現象 模式図
(2)北西太平洋熱帯域の対流活動に影響を与えるインド洋の海面水温は、6月〜10月にかけてインド洋全域で平年並か平年より高い予想
 
→インド洋の海面水温が高いほど、夏の台風発生域の対流活動が抑制される傾向があります。(図4)

(3)北西太平洋熱帯域の主な台風発生域の海面水温が、6月〜7月は平年並か平年より高い見込み

→6月〜7月は、対流活動が活発になると考えられます。

(1)(2)は、台風発生域の対流活動を不活発にする作用がある一方で、(3)は7月にかけての対流活動を活発にする作用があります。これらを考慮し、台風発生域の対流活動は、6月〜7月はおおよそ平年並、8月〜10月は平年並か不活発になる可能性があるとみています。
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