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室屋選手インタビュー 370km/hの席から見た空と海

2018/05/26 10:43 ウェザーニュース

2018年5月26日(土)、27日(日)の2日間、千葉県立幕張海浜公園(千葉市)で「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ 2018 千葉大会」が開催されます。昨年は、約9万人が観戦した“空のF1”とも称される世界選手権。

室屋義秀選手は、2017年シリーズ全8戦中4戦で優勝。悲願だった「年間総合優勝」を果たし、アジア人初となるワールドチャンピオンのタイトルを手にしました。海浜幕張では前々年と前年に優勝しているので、今年も海浜幕張で勝って3連覇を目指します!

Q/世界と比べて海浜幕張のコースの特徴は?


「幕張海浜公園の海岸沿いの海上に設置されたパイロン(高さ25m)のコースを高速の低空飛行でタイムを競います。海上に横長にレイアウトされたテクニカルなコースですが、観客席からはコース全体がよく見え、各レース機のテクニックが比較できると思います」
レッドブル・エアレース2018千葉大会のコース

Q/海浜幕張の気象で気にするところはどこですか


「風と波です。海浜幕張の海上は、時間によって風向が変わります。以前、強風で予選が中止になったことがありましたが、強い風が吹くとパイロン(エアゲート)が揺れるだけでなく、波が立ってパイロンを支える台船も動いてしまい、レースのコンディションが厳しくなります。しかし、そんな厳しい条件の中でもパイロットがいかに正確に操縦するのかに注目してください」
昨年のレッドブル・エアレース千葉大会で飛行する室屋さん

Q/観客が見逃してならない飛行の見どころとは?


「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップは、時速370kmで飛ぶ小型プロペラ機が操縦技術とスピードを競うスポーツで、国際航空連盟公認の世界選手権です。レース機が通り抜けるのは地上や海面から約20mの高さ。観客の目の前の三次元空間で高速の操縦テクニックが繰り広げられます。

モータースポーツならではの先進技術、それを扱うパイロットのスキル、勝負時のメンタル、そしてタイムで勝負が決まる分かりやすさ。さらには、世界のトップパイロット達ととてつもなく高いレベルで競い合うのは、まさにスカイスポーツとしての醍醐味です」
時速370kmという大迫力の飛行に注目したい

Q/コクピットから地上の観客はどのように見えていますか?


「日本で最初にレッドブル・エアレースが開催された2015年、千葉幕張の海岸の景色が今も印象に残っています。スカイスポーツを観戦しにきた、12万人もの観客で海岸が埋め尽くされているのを見て、時代は変わったな、と思ったことを覚えています。エアショーなどを通じて航空文化啓蒙に長く取り組んできて良かった、と感動しました」

Q/高さ25mのパイロン(エアゲート)通過の見どころは


「正確な飛行ラインと機体の角度で通過することです。飛行ラインがずれてパイロンに接触したり、機体が10度以上傾いた状態でパイロンを通過すると、ペナルティと判定され、タイムが加算されます。ここはエアレースの見どころとしても大切なポイントです」
パイロン通過時は必ず機体を水平に保つ必要がある
もう少し詳しく解説すると、パイロン通過は高度が高すぎても低すぎてもNG。さらに必ず機体を水平に保たなければなりません。高度超過や水平が維持されていない場合は2秒のペナルティが加算されるのです。

また、高度が低すぎる場合は失格になります。パイロン通過の瞬間に機体を水平に戻す早業が見どころとなります。そのため機体を素早く左右に切り返さなくてはならず、全コース中で最も激しい機動が見られるのです。

曲技飛行では角度1度の姿勢のズレ、エアレースでは1000分の1秒の差が勝敗を決するといいます。
2017年に悲願の年間総合王者に
風が強い幕張の気象条件の中、世界最高の操縦技術が低空で繰り広げられるのです。世界トップクラスのパイロットとともに「風を読む」室屋選手のターン技術に注目しましょう!
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