技量だけでない選考基準
ブルーインパルスは、航空自衛隊松島基地(宮城県)に所属する「第11飛行隊」の通称です。約10名のパイロット(飛行班)及び約30名の整備員と総括班員からなるチームです。ブルーインパルスの顔ともいうパイロットは憧れの的で、毎年、全国の部隊から志願が殺到します。
「選考の基準は3つあります。飛行技量が優れていることはもちろんですが、チームワークが重要なので協調性があること、それに航空自衛隊の広報の役割を担っているので社交性があることです」とブルーインパルスの関係者が明かします。
パイロットの任期は約3年
ブルーインパルスのパイロットの任期は約3年です。1年目はTR(訓練態勢)として技術を習得します。展示飛行のときには、ナレーションを担当したり、後席に搭乗もします。2年目はOR(任務態勢)として展示飛行を行います。3年目は展示飛行を行いつつ、担当ポジションの教官としてTRメンバーに技術を継承します。
もっと任期を長くしたほうが技量を向上させられると思えるのですが、戦闘機操縦者としての役割も併せ持っており、それぞれの部隊で活躍するよう任期3年と区切っていると言われます。
もっと任期を長くしたほうが技量を向上させられると思えるのですが、戦闘機操縦者としての役割も併せ持っており、それぞれの部隊で活躍するよう任期3年と区切っていると言われます。
操縦のノウハウは“一子相伝”
ブルーインパルスは6機編隊で、約50種ある課目(演目)ごとに、1番機から6番機までがそれぞれの飛び方を毎日訓練します。たとえば新しく5番機付きになったパイロットは、先輩の5番機乗りから徹底して操縦法を教育されます。いわば“一子相伝”です。
その5番機を担当して3年目の元廣哲3等空佐が語ります。「1年余りにわたって先輩から5番機特有の技を叩き込まれ、昨年夏にデビューすることができました。3年目の今年は後任者に技を継承することにも力を入れます」
ちなみに、5番機は1機のみで行う「ソロ課目」が多い花形とされ、もし1番機にトラブルが生じた場合は残りの機体を統率する重要なポジションです。
その5番機を担当して3年目の元廣哲3等空佐が語ります。「1年余りにわたって先輩から5番機特有の技を叩き込まれ、昨年夏にデビューすることができました。3年目の今年は後任者に技を継承することにも力を入れます」
ちなみに、5番機は1機のみで行う「ソロ課目」が多い花形とされ、もし1番機にトラブルが生じた場合は残りの機体を統率する重要なポジションです。
地上の目標物で位置を測って展示飛行
ブルーインパルスは、年間20数回の展示飛行を全国各地で行いますが、飛びやすい地形と飛びにくい地形があると元廣さんが言います。
「本番前に練習しますが、近くに山があると高度を落としづらいので課目が限られます。平地は飛びやすいのですが、地上に目立った目標物がないと、どこで旋回していいのか迷ったりするので、地図で鉄塔やビル、ゴルフ場などを探して実際に確認します」
展示飛行前に気になるのが視程(目視できる距離)や雲底の高さです。視程が8km以上ないと展示飛行はできませんし、雲底が低いと「キューピッド」(ハートとそれを射抜く矢)のような大きな絵を描けないからです。「非番のときも、雲を見ると『雲底は1万フィートくらいあるかな』と気になります」と元廣さんは言います。
「本番前に練習しますが、近くに山があると高度を落としづらいので課目が限られます。平地は飛びやすいのですが、地上に目立った目標物がないと、どこで旋回していいのか迷ったりするので、地図で鉄塔やビル、ゴルフ場などを探して実際に確認します」
展示飛行前に気になるのが視程(目視できる距離)や雲底の高さです。視程が8km以上ないと展示飛行はできませんし、雲底が低いと「キューピッド」(ハートとそれを射抜く矢)のような大きな絵を描けないからです。「非番のときも、雲を見ると『雲底は1万フィートくらいあるかな』と気になります」と元廣さんは言います。
昨年行われた静浜基地の航空祭では、約4万人が来場し、ブルーインパルスの展示飛行などを堪能しました。今年はどんな課目が披露されるのでしょうか。