追い風1m/sで0.1秒変わる
「好記録を出すためには気象条件が整うことが不可欠です」と朝原さんは指摘します。2017年に桐生選手が日本記録9秒98をマークした時も、追い風1.8m/sで記録が出やすいコンディションだったのです。
これまでの日本記録の歴代10傑を見ても、8割が追い風です。具体的に風はどのぐらい記録に影響を与えるのでしょうか?
「体格や走り方などによって差もありますが、基本的に風が1m/s吹けば0.1秒タイムが変わってきます。つまり、追い風2m/sだとタイムが0.2秒早くなるのです」(朝原さん)
また、「山縣選手などスタートを低く出る選手やケンブリッジ選手など体が大きくパワーと体重のある選手は体が軽い選手に比べると風の影響を受けないと思います」と朝原さんは付け加えます。
「体格や走り方などによって差もありますが、基本的に風が1m/s吹けば0.1秒タイムが変わってきます。つまり、追い風2m/sだとタイムが0.2秒早くなるのです」(朝原さん)
また、「山縣選手などスタートを低く出る選手やケンブリッジ選手など体が大きくパワーと体重のある選手は体が軽い選手に比べると風の影響を受けないと思います」と朝原さんは付け加えます。
200mの風は参考にならない?
桐生選手が200mにも挑戦する発言をするなど、今年は例年以上に200mへ注目が集まっています。ただし、200mでは風速計の測定は「100mほど参考にならない」と朝原さんは話します。
こうした風の強さや向きを測る風向風速計を設置する場所は、「直走路の第1レーンに隣接して、フィニッシュラインから50mの地点」(日本陸上競技連盟競技規則)と定められています。これは100mでも200mでも同じで、直走路でしか計測していないのです。
「カーブ部分に風速計を置いていないのは、不思議です。風速計の表示が向かい風でも、カーブで追っていたらタイムは伸びます。特に200mの直線は加速後のトップスピードに入ってからの状態です。
スピードに乗るまでの走り始め(前半)の方が一般的に風の影響は大きいのです。200mであれば70〜80mあたりでトップスピードに乗っていないと良いタイムは出ません。しかし、200mの風速計があるポイントはスピードに乗った最後の直線部分なので、よほどの向かい風でないとあまり影響を受けません」(朝原さん)
こうした風の強さや向きを測る風向風速計を設置する場所は、「直走路の第1レーンに隣接して、フィニッシュラインから50mの地点」(日本陸上競技連盟競技規則)と定められています。これは100mでも200mでも同じで、直走路でしか計測していないのです。
「カーブ部分に風速計を置いていないのは、不思議です。風速計の表示が向かい風でも、カーブで追っていたらタイムは伸びます。特に200mの直線は加速後のトップスピードに入ってからの状態です。
スピードに乗るまでの走り始め(前半)の方が一般的に風の影響は大きいのです。200mであれば70〜80mあたりでトップスピードに乗っていないと良いタイムは出ません。しかし、200mの風速計があるポイントはスピードに乗った最後の直線部分なので、よほどの向かい風でないとあまり影響を受けません」(朝原さん)
「気温」と「湿度」も大切な条件
良い記録を出すためには風だけでなく、気温や湿度などの条件も大切だと朝原さんはいいます。
「気温は高めで湿度は低めの方が体も動きやすく、いわゆる『カラッとした天候』が記録面では有利です。35℃を超えると高すぎですが、25〜30℃ぐらいがベストな条件といえるでしょう。
雨は気温が下がるだけでなく、着地足の離地が悪くなり接地時間が長くなるため、グッとタイムが落ちます」
「気温は高めで湿度は低めの方が体も動きやすく、いわゆる『カラッとした天候』が記録面では有利です。35℃を超えると高すぎですが、25〜30℃ぐらいがベストな条件といえるでしょう。
雨は気温が下がるだけでなく、着地足の離地が悪くなり接地時間が長くなるため、グッとタイムが落ちます」
タイムが狙いやすい競技場は?
気象と同じくらい重要なのが、試合を行う競技場の条件です。グラウンドのサーフェイス(表面)や標高などによって、タイムも大きく変わってくるようです。
「標高が高い(気圧が低い)場所にある競技場や、地面が弾むサーフェイスの競技場で試合をすると、良い記録が出やすいです。最近は日本でもトラックの高速化が進んでいて、具体的には『ヤンマースタジアム長居』(大阪)、『日産スタジアム」(神奈川)、『広島ビッグアーチ』などは記録が出やすいことで有名です。
また、『コカ・コーラウエストスポーツパーク』(鳥取)や『等々力陸上競技場』(神奈川)など、向かい風を抑えたり、追い風参考にならないように風を調節するための防風壁を設置している競技場もあります」(朝原さん)
「標高が高い(気圧が低い)場所にある競技場や、地面が弾むサーフェイスの競技場で試合をすると、良い記録が出やすいです。最近は日本でもトラックの高速化が進んでいて、具体的には『ヤンマースタジアム長居』(大阪)、『日産スタジアム」(神奈川)、『広島ビッグアーチ』などは記録が出やすいことで有名です。
また、『コカ・コーラウエストスポーツパーク』(鳥取)や『等々力陸上競技場』(神奈川)など、向かい風を抑えたり、追い風参考にならないように風を調節するための防風壁を設置している競技場もあります」(朝原さん)
2018年に更新される可能性も
最後に、今年さらなる記録更新の可能性について話してくれました。
「選手は春先に体調を上げてくるので、春の主要大会である5月の『セイコーゴールデングランプリ』(ヤンマースタジアム長居)や、6月の『日本選手権』(山口・維新みらいふスタジアム)が注目です。
また、今年は8月に『アジア大会』(インドネシア・ジャカルタ)があるので、そこにピークを持ってくる選手もいるでしょう。
向かい風だと厳しいですが、少なくとも無風状態であれば、記録を出す可能性は十分にあります」(朝原さん)
5月20日には「セイコーゴールデングランプリ」がヤンマースタジアム長居で開催されます。桐生選手や山縣選手、ケンブリッジ選手、多田選手など豪華なメンバーが集結し、ジャスティン・ガトリン選手(アメリカ)といった世界の強豪と戦います。
ヤンマースタジアム長居は前述した通り記録が出やすい競技場です。気象条件次第では、日本記録の更新に期待が高まります。
「選手は春先に体調を上げてくるので、春の主要大会である5月の『セイコーゴールデングランプリ』(ヤンマースタジアム長居)や、6月の『日本選手権』(山口・維新みらいふスタジアム)が注目です。
また、今年は8月に『アジア大会』(インドネシア・ジャカルタ)があるので、そこにピークを持ってくる選手もいるでしょう。
向かい風だと厳しいですが、少なくとも無風状態であれば、記録を出す可能性は十分にあります」(朝原さん)
5月20日には「セイコーゴールデングランプリ」がヤンマースタジアム長居で開催されます。桐生選手や山縣選手、ケンブリッジ選手、多田選手など豪華なメンバーが集結し、ジャスティン・ガトリン選手(アメリカ)といった世界の強豪と戦います。
ヤンマースタジアム長居は前述した通り記録が出やすい競技場です。気象条件次第では、日本記録の更新に期待が高まります。