facebook line twitter mail

熱中症予防は、この「汗出し法」で!

2018/05/18 06:12 ウェザーニュース

暑さが本格的になったら注意しなければいけないのが「熱中症」です。東洋医学では、熱中症予防には、初夏のうちからの「体づくり」が欠かせないとしています。

その具体的な方法を、源保堂鍼灸院の瀬戸郁保先生、瀬戸佳子先生に伺ってきました。

夏に向けて「汗をかける体」をつくっていく

東洋医学では、熱中症のことを昔から「中暑(ちゅうしょ)」と呼び、暑さによって体が傷む(暑さに中〈あた〉る)ことによって起こるとされています。体の水分を入れ替える時季にあたる夏に、十分に水分の入れ替えができないと、体に熱が溜り、それが熱中症の大きな要因になると東洋医学では捉えているのです。

水分を入れ替えるためには、汗をかく必要があります。ただし、現代の日本の夏は、至るところで冷房が効いていたり、冷蔵庫・冷凍庫で冷やされた食品を食べられたりで、十分に汗をかく機会が昔に比べて減っています。

瀬戸先生よると、「そんな環境も、近年の熱中症増加の要因になっているといえます」。となると、熱中症予防のひとつの方法は、「十分に汗をかく機会を持つ」となります。

しかし、人間の体は「暑くなれば汗をかく」というほど簡単なつくりになっていません。冬の間に閉じていた汗腺(汗を出す器官)を、春から初夏の時期にじわじわと開いていく必要があります。汗腺が開けば、夏に十分な汗がかける体へと変化し熱中症を予防できる、というわけです。

バスタイムを活用し「汗出し」をしよう

どうすれば汗腺を開くことができるのでしょうか。まず、「体を動かす」です。たとえば、ウォーキングや軽いジョギング等で体を動かせば、確実に汗をかくことができ、汗腺もじわじわと開いていきます。

でも、「忙しくて、運動する時間がとれない……」という人も少なくないですよね。そんな人におすすめしたいのが、バスタイムを活用した「汗出し法」です。

具体的には、お湯をはったバスタブで、ヒジから先の部分と、ヒザから先の部分を温めるのです。これらの部分を温めると体幹に熱が集まり、汗をかきやすくなります(「半身浴」の場合、体幹への熱の移動がうまくいかないので、汗をかく方法としては効果が低くなります)。

バスタブの中で四つん這いの姿勢をとると、これらの部分がちょうどお湯につかるのでおすすめなのですが、これは決して楽な姿勢とはいえません。「四つん這いが厳しい……」という人は、バスタブに風呂イスを入れ、そこに座った状態でヒジからの先をお湯につからせる、という方法が良いでしょう。
その都度、やりやすい方法を選んでみてください(最初四つん這いで、疲れたら風呂イスに座って……という方法でもOKです)。

お湯の温度は43℃くらいのちょっと熱めにします。時間は10~15分が目安です。のぼせ防止のため、たとえ汗をあまりかいていなくても、これくらいの時間を限度としてください。また、前後に必ず水分補給をしましょう。

汗腺が閉じて汗をかきにくくなっている場合、最初はなかなか発汗できないかもしれません。それでも、1週間くらい続けると、だんだん汗をかけるようになってくるはずです。3週間も続けると、汗腺がきちんと開き、しっかり汗をかけるようになります。

真夏もしっかり良い汗をかく

このお風呂を使った「汗出し法」は、暑さが本格的になったときの熱中症対策としても活用できます。今は冷房などで汗がかきにくい環境なので、この「汗出し法」で意識的に汗をかき、体からしっかり熱を拡散するのです。

いい汗を毎日かいて、熱中症を予防しましょう。そして、汗をかいたら、その分の水分補給も忘れずに!

参考資料など

取材先:源保堂鍼灸院(http://genpoudou.com/)、瀬戸郁保氏/瀬戸佳子氏
  • Twitterで
    最新情報つぶやき中!
    「この空あの人にも見せたいな…」そんな想いを共感・共有しながら”みんなで作る天気予報”をモットーにお届けしています。 天気・台風・地震・津波などの防災情報や、星空情報・季節の便り等もお楽しみに♪
  • 公式SNSアカウント
  • アナタのスマホに