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【GWも要注意】その体調不良、“飛行機高山病”かも

2018/05/24 16:58 ウェザーニュース

2018年のゴールデンウィーク真っ只中。飛行機で遠出する人も多いでしょう。しかし、飛行機に乗るたびに頭痛、だるさ、食欲不振、吐き気、めまいなど体調不良を感じることはありませんか? それは“飛行機高山病”かもしれません。飛行機で体調不良になるメカニズムと予防法を紹介します。

標高2000〜2500mの気圧に相当

「飛行中の機内は0.7〜0.8気圧に減圧されています。標高2000〜2500mに相当する気圧なので、高山病になってもおかしくない環境です」と語るのは、ウェザーニューズ気象病顧問アドバイザーで愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤純先生です。

高山病の研究をしたことがある佐藤先生が続けます。「高山病の3大症状は、頭痛、不眠、肺水腫で命に関わることがあります。ただし個人差が大きく、標高1200mで症状が出る人もいれば、標高4000mでもケロっとしている人もいます」

気圧センサー以外の不調も

人の内耳の前庭(三半規管の根元)には気圧センサーがあり、気圧が下がると自律神経にストレス反応が起きて交感神経が優位になり、頭痛などを引き起こすと考えられています。しかし、高山病の原因はそれだけではないと佐藤先生は言います。

「海外の論文ですが、飛行機に乗ると頭痛が出る人7人と、そうでない7人が機内と同じ気圧の減圧室に入ったところ、やはり最初の7人に頭痛が起こり、残りの7人は異常なしでした。症状が出た人の血液を調べると、血管を広げるプロスタグランジンが過剰に分泌され、血中の酸素が少なかったのです」

これは、「気圧が下がると、なんらかのメカニズムで炎症が起こり、プロスタグランジンの分泌が増えて脳の血管を広げ、それが頭痛を引き起こすと考えられます。飛行機高山病は、気圧センサーだけの問題ではなく、全身症状の可能性があります」と佐藤先生が指摘します。

気圧変化に馴れる「耳抜き」

“飛行機高山病”を軽減する方法を紹介します。まず「耳抜き」です。機内で耳が詰まるのは、鼓膜の外側と内側で気圧が違うため。そういうときは、鼻をつまんで空気を吸い込み、口を閉じて吸い込んだ息を耳へ送り込みます。これを耳が抜ける感じがするまで、数回繰り返します。温かいタオルやハンカチを耳に当てると楽になることもあります。

ちなみに、耳抜きは気圧が低下するときより、上昇するときのほうが難しいと言われます。飛行機が着陸のために降下するときもしっかり耳抜きを。

「耳抜きがうまくできない人は、滲出性中耳炎などで鼓膜がの弾力が低下している可能性があります。そういう人は、症状が出る前に飴をなめるなどして、気圧変化に備える必要があります」(佐藤先生)

風邪をひいているときは要注意

「私が風邪をひいて飛行機に乗ったとき、ひどい“飛行機高山病”になったことがあります。台湾まで4時間くらいのフライトでしたが、片耳が痛くなり、やがて頭の半分が割れるような頭痛に襲われました」と佐藤先生。

「炎症が起こっているときは、消炎鎮痛剤(イブプロフェンなど)を飲めば頭痛は避けられることがあります。めまいが主訴の場合は、酔い止め薬が有効だったりします」

通常の高山病は低地に降りてくれば回復しますが、“飛行機高山病”は、15〜30分で標高2000〜2500mの山に登るようなもので、着陸後も体調不良が丸一日続くことがあります。“飛行機高山病”の恐れがある人は、休養日を設けるなど余裕のあるスケジュールで旅行を楽しんでください。
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