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GWで大流行の懸念も! はしか感染、ハイリスクの年代は?

2018/04/27 11:52 ウェザーニュース

沖縄県で台湾からの旅行者にはしか(麻疹)が確認されたのは3月20日。以降、感染が拡大して4月25日までに県内で71人に上っています。

一方、4月11日には沖縄に行った名古屋市の男性がはしかと診断され、愛知県でも8人の感染者が確認されました(4月25日現在)。移動が多くなるゴールデンウィークによって、大流行も懸念されています。

はしかの感染を防ぐ決め手は「麻疹ワクチン」。あなたはこれまで何回接種しましたか?

2015年にはしかは「排除状態」と認定

2015年、WHO(世界保健機関)は日本をはしかの「排除状態」にあると認定しました。海外から持ち込まれたウイルスによる輸入感染はありましたが、日本に土着するウイルスによる感染が3年間確認されなかったからです。

今回も台湾人旅行者による輸入感染ですが、春から初夏に流行することが多く、すでに2次感染、3次感染が疑われる例も出現、しかも民族大移動のゴールデンウィークが重なって大流行が懸念されているのです。

麻疹ワクチンの効果

1960年代までの日本ははしかが大流行していましたが、2015年にWHOが「排除状態」と認定するに至ったのは、「麻疹ワクチン」が絶大な効果を果たしたからだと横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田院長が語ります。

「1966年に『麻疹ワクチン』が導入されましたが、任意接種だったので普及しませんでした。78年からは生後12〜72ヵ月の小児を対象に定められた期間内で受けるよう定期接種化されたため、90年代には感染者が減少。ときおり流行がありましたが、2006年にワクチンを2回接種するようになって激減し、『排除状態』と認定されたのです」

すれ違っただけで感染することも

「はしかの感染力は極めて強く、すれ違っただけで、あるいは同じ飛行機に乗り合わせただけでも感染すると言われるほど。マスクでも感染は防げません」(吉田院長)

ウイルスに感染すると、次のような経過をたどります。7〜14日の潜伏期を経て38℃前後の風邪症状(発熱、倦怠感、上気道炎症状)が2〜4日続き、いったん解熱した後、再び39〜40℃の高熱が出て、身体中に発疹が出現します。発疹は3日ほどすると退色し、やがて皮がむけるように取れて回復に向かいます。

はしかの特効薬はなく、症状に応じて解熱剤や鎮咳去痰薬などを使う対症療法を行います。発症者の3割が肺炎や気管支炎、中耳炎などの合併症を併発するので、その際は抗菌薬を投与します。残念ながらウイルス性脳炎や細菌性肺炎で亡くなる人もいます。

28〜40歳前後はリスクが高い?

「はしかの唯一の予防策は、ワクチン接種とされています。しかし、接種しても3〜5%の人は免疫ができないというデータがあり、2006年から2回接種することにした経緯があります」(吉田院長)

その矢先、2007年春に全国の大学や高校で麻疹が流行し、休校が相次ぎました。感染したのはワクチン接種1回世代。そこで2008年から、1990年4月2日以後に生まれた人を対象に2回目を接種しましたが、1990年4月1日以前に生まれた人は取り残されました。

「現在、28〜40歳前後の世代は、ワクチン1回接種なので、リスクが高いといえます。なお、40歳を超える世代はワクチンを接種していませんが、はしか大流行期に幼少期を過ごしているため、大半は免疫を持っていると考えられます」(吉田院長)

大人も「麻疹ワクチン」接種は有効

ワクチン1回接種世代はもちろん、2回接種世代も免疫が十分でない可能性があります。心配なら、医療機関で「麻疹抗体検査」を受けると免疫の有無がわかります。もし検査で免疫が十分でなければ、大人になってもワクチンは有効なので、ワクチンを接種すれば免疫を獲得できます。

ワクチンの在庫の有無、接種してから免疫を獲得するまでの日数などは、各医療機関に問い合わせてください。

健康保険は適用されないので全額自費になりますが、抗体検査が2500〜4000円前後、ワクチン接種が5000〜6000円前後。はしかを大流行させないために抗体検査を受けてみてはいかがでしょうか。
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