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繁殖期(4〜8月)のカラス攻撃は「バンザイ」で防ぐ!?

2018/04/24 23:44 ウェザーニュース

街中や郊外、どこでも見かけるカラス。ゴミをあさって散らかす、黒くて大きくて鳴き声も怖い、などあまり好かれている鳥とはいえません。この季節になると彼らの子育てが始まり、通行人が攻撃を受けるなど、そのイメージはますます悪化します。

しかしこのカラス、実はとても賢くて愛情が深く、上手に付き合えばお互いにストレスなく共存できる鳥なのです。彼らとの付き合い方や、この季節特有の攻撃を簡単に防げる方法など、NPO法人札幌カラス研究会代表理事の中村眞樹子さんに伺いました。

身近なカラスは2種類、見た目も性格も違う

私たちが身近に見かけるカラスは主にハシブトガラスとハシボソガラスの2種類です。ハシブトガラスは名前の通りくちばしが分厚く、体も大ぶりで、声は澄んでいます。一方ハシボソガラスはくちばしがスマートで、体はやや小ぶり、声はしわがれています。

ともにとても賢く、記憶力も抜群です。また雛に対する愛情は鳥の中でも群を抜いていますが、「このうち、主に人を攻撃するのはハシブトガラスです」と中村さんは話します。
ハシブトガラス
ハシボソガラス
「ハシボソガラスは雛が落下して人が手を出そうとしない限り、まず攻撃しません。しかし、ハシブトガラスは、特に雛のふ化直後から巣立ち後10日間は雛を全力で守ろうとするあまり、巣のそばを通りかかる人を攻撃することがあるのです。大体、4月中旬から8月ぐらいがその期間にあたります」(中村さん)

雛を守ろうという親の愛情から、攻撃という手段に出るわけですね。では、彼らの攻撃から身を守り、お互いにストレスなくこの期間を過ごすにはどうすれば良いでしょうか。

攻撃する前の警告メッセージに気をつけよう

できれば、人に接触するリスクは避けたいカラス。中村さんによると、人を攻撃するのは最後の手段のようです。

「カラスが攻撃に出るまでは、じっと見て警戒→威嚇鳴き→接近→人を追跡→低空飛行→攻撃という段階を踏みます。このメッセージに注意が必要です。

カラスが『カウ、カウ、カウ』とピッチの早い声で鳴きながら頭上を飛び回ったり、近くに止まり『ガーッ、ガーッ、ガーッ」と少し濁った声で鳴きながら、枝をつついたりすれば、それは巣が近くにあるということ。避けられるのであれば、その道は通らないようにしましょう。

『カラスのためになんで人が遠慮するのか』という意見もありますが、それはカラスのためではなく人が攻撃されないようにするため。人とカラスのむやみな衝突は避けよう、ということです」(中村さん)

避けて通れない場合の簡単な回避法は

「バンザイ」しながら、そっと歩いて通り過ぎるのが効果的
では、迂回路がない場合はどうしたら良いでしょうか。また、カラスはどのように攻撃してくるのでしょうか。

「カラスの攻撃は『くちばしでつつく』と思っている方が多いですが、実は後ろから人の後頭部を蹴るんです。そのため、傘をさせば頭が隠れるので防げるのですが、いつも持っているわけではありません。

一番良いのは『両腕をまっすぐに上に挙げて動かさず、そのまま歩いて通り過ぎる』という方法。両腕を挙げていれば、頭を攻撃しようとすると翼が腕に引っ掛かる可能性があるため、頭を蹴ることができなくなるんです」(中村さん)


また、カラスは人の行動をよく覚えていて、大声を出したり石などを投げたりして怖い目にあわせると、その人と似た年齢や風貌の人も威嚇するようになるようです。

「むやみに刺激することなく、カラスの威嚇を察知したら穏便に通り過ぎるのが一番です」と中村さんはアドバイスします。

魅力的で謎多き鳥、カラス

こんなに身近なカラスですが、警戒心が強いうえに賢いので、野生の生態がつかみにくく、実はいまだに謎が多い鳥だそうです。カラスを観察すると、カラスもこちらをじっと観察しているのがわかります。

カラスの脳研究に詳しい宇都宮大学の杉田昭栄特命教授によると、カラスは人の7歳程度ができる簡単な三段論法的な知能行動ができるそうです。電線でブランコをしたり滑り台を滑るなどの遊び行動も観察されるほど、お茶目な一面も。

いたずらに恐れたり忌み嫌うことなく、互いにストレスなく共存できればいいですね。

参考資料など

環境省「カラス対策マニュアル」
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