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みんな勘違い!? 「宵(よい)」とは何時頃を指すの?

2018/04/05 10:01 ウェザーニュース

春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)とは、今の時期にぴったりの言葉です。春の宵(よい)は素晴らしく、そのひとときは千金にも値するという意味です。ところで、「宵」とは何時頃を指すのでしょうか?

気象庁が使っていた「宵のうち」

「宵闇迫る」とか「宵っ張りの朝寝坊」などと言いますが、いったい「宵」は何時頃なのでしょうか。今は使われていませんが、かつて気象庁は天気予報で「宵のうちまで時々雨が降るでしょう」というように使用していました。

しかし、2007年の「予報用語改正」で、「宵のうち」は今後使用せず、代わりに「夜のはじめ頃」を使うことにしました。改正理由は「『宵のうち』はもっと遅い時間帯を含んでいると理解されているため、より適切な表現に」と発表しています。

夜更かしが「宵」の時間帯を変えた?

気象庁は、「宵のうち」とは18時頃から21時頃の時間帯としていたのに、もっと遅い22時とか23時まで「宵」と思っている人がいるので、「夜のはじめ頃」(18〜21時頃)に用語を変えたのです。

実際、夜10時を過ぎているのに、「まだ宵のうちだ。もう1軒付き合え」と言う夜更かし人間は少なくありません。夜更かしが宵の時間帯を変えたのです。

「宵」の時間帯は季節で違う

それでは、「宵」は気象庁が定めるように18〜21時でよいのでしょうか。辞書を見ると、「宵」は「日が暮れてまだ間もない頃」「夜がまだそれほど更けていない頃」「日が暮れて間もないとき」などと書いてあります。

「日暮れ」が一つの基準になっているなら、「宵」の時間帯は季節によって違うはずです。「日が暮れて間もないとき」は日没後1時間ほど。日が短い冬なら17時頃、日が長い夏なら19時30分頃、春(4月)なら18時30分頃となります。かつて気象庁が使っていた「宵のうち」の時間帯が18〜21時というのも、改正理由とは別の意味で無理があったようです。

原典は中国北宋代の詩人・蘇軾の漢詩

ところで、「春宵一刻値千金」は中国北宋代の詩人で政治家だった蘇軾(そしょく、1037〜1101年)の「春夜」という漢詩の一節です。七言絶句の全文は次の通りです。

春宵一刻値千金
花有清香月有陰
歌管楼台声細細
鞦韆院落夜沈沈

日本語訳すると次のようになります。
「春の夜の素晴しさは、ひとときが千金にも値する/花は清らかな香りがただよい、月はおぼろに霞んでいる/楼閣から聞こえていた歌声や管弦の音は、先ほどまでの賑わいも終わり、今はかすかに聞こえるばかり/ブランコがある中庭では、夜が静かにふけていく」

今はまさに「春宵一刻値千金」の季節。春の宵を存分に楽しんでください。
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