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大谷翔平は気象を味方につけよ! 「エンジェル・スタジアム」の風に注目!

2018/03/27 09:28 ウェザーニュース

投打の「二刀流」で日本プロ野球に革命を起こした大谷翔平。その新たな舞台となるメジャーリーグの開幕が3月29日(日本時間30日)。大谷選手のデビューが、いよいよ近づいてきました。オープン戦では投打ともに今一つの成績でしたが、シーズン開幕後はどのようなプレーを見せてくれるでしょうか。

多くのメディアが様々な観点から大谷選手の活躍度を予想していますが、ウェザーニュースが注目するのは、ずばり「気象」です。

シーズン前半は投手に有利な風が吹く本拠地

大谷翔平はアメリカン・リーグ西地区のロサンジェルス・エンジェルスに所属しています。シーズンの試合の半分は、カリフォルニア州アナハイムにある本拠地「エンジェル・スタジアム・オブ・アナハイム(以下エンジェル・スタジアム)」でおこなわれますが、この球場の気象上の特徴およびそれが大谷選手に及ぼす影響を、『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2018』の編著者である友成那智さんにうかがいました。

「アナハイムのシーズン中(3月末~9月)の降雨はごくわずか。特に6月から9月にはほとんど、あるいはまったく雨が降らない日が続きます。2015年7月19日に、20年ぶりにホームゲームが雨で中止になって大きなニュースになりましたが、これは例外中の例外。大谷のホームゲームの先発予定試合が雨で流れることは、まずないと思っていいでしょう」

プレーに支障をきたす恐れのある雨は、選手にとって嫌なもの。しかし大谷選手が本拠地で試合をする場合は、その心配はしなくてよさそうです。では、エンジェル・スタジアムを吹く風が、プレーに影響を与えることはあるのでしょうか。

「風の強さ自体は、メジャーの球場では弱いほうです。ただ、夏場以外のナイトゲームでは、ライト、センター方向からホーム方向へ湿った風がよく吹き、その影響で空気が重くなって打球が飛びにくくなります。打者にとっては逆風にもなり、当然、ホームランも出にくくなります。これは投手・大谷にとってはプラス要素ですが、打者・大谷にとってはマイナス要素。大谷の放った大飛球がフェンス前で失速。そんなシーンがシーズン中に2、3度 あるかもしれません」

投手・大谷は「夏」を乗り切れるか!?

エンジェル・スタジアムは投手にやや有利な球場とされていますが、その背景にはこの風の影響もあるようです。このように聞くと投手としての活躍は期待できそうですが、友成さんは投手・大谷にとって、「夏」が厳しい試練の時期になると指摘します。

「7月から9月中旬にかけては気温の高い乾燥した日が続くため、春に比べて打球が飛びやすくなります。しかも夏場は疲労がピークに達すると思われるので、被本塁打が増える可能性も高くなります。この時期は風もホームからセンターやライト方向に吹くケースが多くなるので、投手・大谷にとっては不利な条件が多くなると言えるでしょう」

アナハイムは日本ほど湿度がないとはいえ、夏は暑い日が続きます。そのため、夏場のデーゲーム(13時開始)に登板するときは一段と消耗が激しくなる恐れもあります。こうした厳しい条件は相手投手にとっても同じですが、メジャーの過酷なスケジュールを初めて体験する大谷選手には、負担がより重くのしかかることになるかもしれません。ただ、大谷選手が他球団の投手と比べて有利と言える面もあるようです。

「夏場は南カリフォルニアの強烈な陽光がグラウンドに照りつけるので、エンジェル・スタジアムではゲーム前に水まきをしっかりやっています。そのため内野の土の部分がイニングを経るごとに固くなってゴロが跳ねやすくなり、内野安打が出やすくなる傾向にあります。しかし大谷は今季、メジャーでナンバーワンの内野陣をバックに投げるので、これによる被害はそう多くならないはずです」

エンジェルスのショートを守るシモンズは、「守備の魔術師」として球史に名を残すことが確実な選手。さらにこのオフ、エンジェルスはセカンドにキンズラー、サードにコーザートという守備の名手を新たに迎え入れ、内野守備力の強化に努めました。この頼れる内野陣が、通常であれば安打になりそうな打球をアウトにしてくれるシーンが度々見られるかもしれません。

参考資料など

『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2018』(廣済堂出版)
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