香りが強いオオシマザクラの葉
松崎町は伊豆半島南西部の人口約6500人の町です。ここで桜葉漬け(塩漬けの桜の葉)がつくられるようになったのは明治の半ば。祖父の代から70年続く桜葉栽培農家の方に話を聞きました。「名乗るほどの者ではない」というので、仮にAさんとお呼びします。
「桜葉漬けに使うのはオオシマザクラの葉です。他の品種ではかなわない強い香りが特徴で、苗を植えて2年もすれば葉を収穫できます。葉の表面に細かい毛が生えていないから舌触りがいい。うちは1町歩(1ha)に1万本のオオシマザクラを植えています。春に白い花を咲かせて、しばらくすると収穫が始まります」
「桜葉漬けに使うのはオオシマザクラの葉です。他の品種ではかなわない強い香りが特徴で、苗を植えて2年もすれば葉を収穫できます。葉の表面に細かい毛が生えていないから舌触りがいい。うちは1町歩(1ha)に1万本のオオシマザクラを植えています。春に白い花を咲かせて、しばらくすると収穫が始まります」
収穫は5月から8月まで。葉を傷つけないよう丁寧に摘んで、50枚1束にまとめるそうです。収穫だけでなく、消毒、草取り、木の剪定(せんてい)など、桜葉農家は年中仕事があるとAさんは言います。
なぜ松崎町が桜葉の特産地に?
松崎町が国内産桜葉の7割を出荷している理由をAさんが教えてくれます。「松崎町は気候が温暖で雪が降ったこともない。風も穏やかだから桜の葉も傷つかない。傷ついた葉は出荷できませんから。潮風にも強い品種で、ここで育ったオオシマザクラの葉は香りが特にいい」
収穫した桜の葉は、その日のうちに町内にある桜葉漬けの工場に運び入れます。工場では大きな樽に50枚1束にした葉をぐるりと並べて塩を振り、ふたをして重石を乗せます。こうして数ヵ月から半年寝かせると芳醇な香りの桜葉漬けが完成します。ちなみに、この香りは芳香成分のクマリンで、生きている桜の葉では閉じ込められて匂わないのですが、破砕したり塩蔵すると発散するそうです。
最盛期は20年前、最近は外国産も
Aさんによると、20年ほど前は松崎町に200戸の桜葉農家があったものの、今は半分ほどになったそうです。「高齢化で続けられない農家が増えました。最盛期は500万束(1束50枚)以上出荷していましたが、今は出荷も半分ほど。そのぶん、つくったら全部はけてしまいます」
最近は中国産なども輸入されていますが、桜葉漬けは桜餅のほかにも、白身魚の桜葉蒸しなど料理に使ったり、パウダーにして焼き菓子に使うなど用途は様々。
さて、あなたは桜餅の葉を食べますか?それとも残しますか?
最近は中国産なども輸入されていますが、桜葉漬けは桜餅のほかにも、白身魚の桜葉蒸しなど料理に使ったり、パウダーにして焼き菓子に使うなど用途は様々。
さて、あなたは桜餅の葉を食べますか?それとも残しますか?