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「桜餅」あなたは“関東風”? “関西風”?

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2018/03/24 12:10 ウェザーニュース

桜の季節にふさわしい和菓子といえば桜餅。

桜餅には、水溶きした小麦粉をクレープ状に焼いた皮で餡を巻く「関東風」と、道明寺粉(水に浸した餅米を干して粗めにひいたもの)を蒸した生地で餡を包む「関西風(道明寺)」の2通りあります。

はたして東西の分かれ目はどこか、ウェザーニュースが会員に調査をしてみました。

全国各地で「関西風」が席巻

ウェザーニュースは2015年に桜餅の「関東風・関西風」調査を実施しました。結果は、「関西風」が北海道、東北の一部、北陸、中部以西(島根県を除く)を制覇して全国を席巻中でした。
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しかし、「家の近くのスーパーではセットで売っています」などの回答があったため、2018年調査では、選択肢を「関東風」「関西風」「両方」に増やしたところ、前回は東京など「関東風」が優位だった地域が「両方」になり、「関東風」優位は秋田県だけになってしまいました。
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関東風桜餅の起源は?

「関東風の桜餅が誕生したのは今から300年以上前の1717(享保2)年とされています」と話すのは、関東風桜餅の発祥の店である「長命寺桜もち」の山本幸生さんです。

「東京都墨田区向島にある長命寺の墨堤(隅田川の土手)は有名な桜の名所でした。八代将軍徳川吉宗が隅田川の治水のために桜の木を植えたそうです。

下総銚子から江戸に出てきて長命寺の寺男となった山本新六が、隅田川の土手の桜の葉を使用して桜餅を考案し、長命寺門前で『山本や』を創業。『長命寺の桜餅』として売り出したところ、たちまち大評判となりました。

現在も『長命寺桜もち』という名で当時の味を伝えています。製法も創業以来変わっていません。水で溶いた小麦粉を薄く延ばしてから手焼きした生地で餡を包み、塩漬にした桜の葉を餅に巻いて作っています」(山本さん)

ちなみに、当時は餅1個に2枚の桜葉を使って巻いていたのですが、現在は餅が大きくなっていることから、乾燥を防ぎ、香り付けをよくするために、2〜3枚ほどの葉っぱを使って餅が見えなくなるように巻いているとのこと。

こうして長命寺の桜餅が関東風の桜餅として広まっていったそうです。

プツプツ・モチモチ食感の「関西風」桜餅

一方、関西風の桜餅にはどのような特徴があるのでしょうか? 歳時記×食文化研究所代表の北野智子さんに伺いました。

「関西風の桜餅は『道明寺桜餅』ともいわれています。道明寺とは、餅米を蒸して乾燥させ、割って粉にしたものや、その粉を使った生地で、大阪府藤井寺市にある道明寺が発祥の地とされています。

この道明寺生地(粉)で作る桜餅は、プツプツ・モチモチとした食感が心地よく、桜葉から移った香りとほのかな塩気が相性抜群です。残念ながら、いつ、誰がこの道明寺粉を使って関西風の桜餅を誕生させたのかは定かではないようです」(北野さん)

各地からのコメント

冒頭に紹介したように、いまや“新興”の「関西風」桜餅が全国を席巻しているようですが、今回の調査で寄せられたコメントを紹介します。

「関東風」と回答した人は「うまいから」(東京)、「道明寺(関西風)はネチネチしているから苦手」(茨城)、「関西風」と回答した人は「馴染みがあるのはこれ」(山梨)、「ロール状の桜餅は見たことない」(北海道)、「両方」と回答した人は「スーパーでは両方の詰め合わせが主流です」(千葉)、「昔は関東風だけだったけれど、最近は両方見かける」(東京)とコメントを寄せてくれました。

この季節にいただく桜餅、あなたはどちらを召し上がりますか?

※2024年5月に再取材を行い、本文の内容のを更新しました。本記事は「関東風の桜餅」の一般的な呼称について何らかの見解を示すものではありません。