暖冬の年、暖地のサクラの開花が遅れたり、満開にならなかった
歴史的暖冬だった2007年、東京で3月20日にサクラが開花するなど多くの地域でサクラの開花日が早まりましたが、種子島(4月1日)や八丈島(4月13日)といった暖地では極端に開花が遅れました。
また、八丈島では満開になりませんでした。なお、サクラの満開とは8割以上の花がいっせいに開花した状態をいいますが、だらだらと咲くと満開にならないのです。
サクラの花芽の成長には3〜10℃前後の低温による休眠打破が必要ですが、暖冬だと暖地では休眠打破が行われず、かえって成長が遅れたのです。
福岡市科学館館長の伊藤久徳さんが語ります。「私が九州大学大学院教授(気象学)だった9年前、地球温暖化が進むとサクラの開花日がどう変化するのか、ある温暖化シナリオのもとで、2100年までの様子をコンピュータ上で再現してみました」
また、八丈島では満開になりませんでした。なお、サクラの満開とは8割以上の花がいっせいに開花した状態をいいますが、だらだらと咲くと満開にならないのです。
サクラの花芽の成長には3〜10℃前後の低温による休眠打破が必要ですが、暖冬だと暖地では休眠打破が行われず、かえって成長が遅れたのです。
福岡市科学館館長の伊藤久徳さんが語ります。「私が九州大学大学院教授(気象学)だった9年前、地球温暖化が進むとサクラの開花日がどう変化するのか、ある温暖化シナリオのもとで、2100年までの様子をコンピュータ上で再現してみました」
南東北〜九州北部がいっせいに開花
「結果の一部を紹介します。下図は2082〜2100年の19年間の平均した開花予想日が、最近の開花日(1982〜2000年の平均)とどれだけ変化するかを示したものです。傾向として、東北地方で開花が今より2〜3週間早まる一方、九州など温暖な地域は逆に1〜2週間遅くなるのです」(伊藤さん)
さらに下図は開花日の日付です。4月になると南東北から九州北部がいっせいに開花することになりそうです。
サクラが開花しない地域も出現
開花日が変動するだけでなく、サクラが開花しない地域もありました。
「種子島や鹿児島の西部では全く開花せず、九州南部、四国南西部、長崎県や静岡県の一部は開花しても満開にならないというシミュレーション結果でした」と言う伊藤さんは続けて、サクラに対する思いを語ります。
「種子島や鹿児島の西部では全く開花せず、九州南部、四国南西部、長崎県や静岡県の一部は開花しても満開にならないというシミュレーション結果でした」と言う伊藤さんは続けて、サクラに対する思いを語ります。
「心が晴れる、それが満開のサクラを見るときの私の気分です。サクラが咲かなくなれば、心にずっとモヤモヤを感じるでしょうね。春を代表するのがサクラで、それにまつわる言葉、文化、行事もなくなるので,大げさに言うとひとつの季節がなくなるということかもしれません」
温暖化はサクラにとっても厳しい環境になりそうです。70〜80年後のシミュレーションですが、サクラを取り巻く風景も大きく変わっていることでしょう。
温暖化はサクラにとっても厳しい環境になりそうです。70〜80年後のシミュレーションですが、サクラを取り巻く風景も大きく変わっていることでしょう。