facebook line twitter mail

川沿いに桜が多い理由は災害対策だった!?

2018/03/13 07:37 ウェザーニュース

昼間はポカポカと感じるような日も多くなり、桜の生長も着実に進んでいます。
もう少しすると、桜開花の便りも届きそうですね。

今回はそんな桜にまつわる意外な秘密をご紹介!お花見の席で思わず話したくなるかもしれません。

川沿いに桜が多いのはなぜか?

box0
撮影:愛知県
この時期になると、今年はどこにお花見に行こうかな?なんて計画を立てている方も多いかと思います。
たくさんの桜があって、写真映えするスポットは…と考えた時、候補の一つに川沿いを思い浮かべた方はいませんか?

川に沿ってどこまでも続く桜並木は圧巻ですが、そもそもなぜ川沿いに多いのでしょう。

江戸時代の頃は、大雨が降ると川が氾濫しやすく、土手が決壊することもしばしば。

今のようにインフラ整備が整っていなかった時代の人は、どうすれば土手が決壊しないのか懸命に考えました。

「ローコストで効率よく土手を強化するには…?」
そこで白羽の矢が立ったのは、なんとお花見でした。

土手に桜を植えれば、毎年多くの人が花見に訪れて、自然と土手を踏み固めてくれるに違いない!
そうした先人の知恵から、川沿いには桜が多く植えられるようになりました。

いわば災害対策ということだったんですね。

桜の木は繊細

box2
土手を強化する目的で植えられていた桜ですが、木自体は外部からの刺激にとても弱いんです。そのため、お花見の際は以下の点に注意が必要です。

【桜の根の近くには座らない】
桜は浅根性で、土の浅い所に根を張って、栄養を吸収しています。そのため、根本の土が必要以上に踏み固められたりすると、呼吸ができなくなってしまいます。木の周りに柵がなくても、一定の距離を置いて眺めることをおすすめします。

【桜に余った飲み物をかけない】
桜の木は、土壌に水分が多すぎる環境が苦手です。水はけの良い場所を好むため、お花見で余った飲み物を桜の根元に流すと、桜の木は弱ってしまいます。飲み残しは、しかるべきところで処分をしてください。

【枝は折ってはいけない】
桜の枝はむやみに折ると、切り口から雑菌が入り、病気になる確率が高くなります。意図的に折る方はいないと思いますが、ついうっかり・・・なんてことにならないよう、細心の注意を払ってお花見を行ってください。

二つの太陽

box3
撮影:山形県
川沿いの桜でもう一つ疑問なのが、写真のようになぜか川に向かって枝が伸びているということ。桜は太陽からの日差しを浴びて生長しますが、日差しが届きにくい下の方の枝はあまり生長しないものです。

しかし、川沿いの桜の場合は、川面に太陽が反射して、下の方の枝にも日差しが届きます。そのため、枝が川面に向かって伸びていきます。

川沿いの桜は、空に浮かぶ太陽と川面に映る太陽の二つから恩恵を受けていたのです。

年輪に秘密があった!?

「そういえば、川の近くに生えているわけでもないのに、枝が下に向かって伸びている桜もあるよね?」

それはおそらく枝垂れ桜(シダレザクラ)です。桜の樹形には上に向かって伸びるもの、横に広がるもの、下に向かって枝が垂れるものがあります。
種類や育つ環境によって樹形は様々ですが、枝垂れる桜には枝の年輪に特徴があります。

木の幹の年輪は、ほぼ同心円状に並んでいます。しかし、桜をはじめとする被子植物の枝は、発達している上半分が広く、下半分が狭い年輪になっています。枝の上半分が発達すると、重力に負けず、引っ張り上げられる形になるので、枝垂れることなく生長します。

一方、枝垂れ桜はというと、上下の年輪の幅に差がないため、枝を引っ張り上げることができないのです。

ちなみに、ジベレリンという植物ホルモンの一種を施すと、枝垂れることなく生長するようです。

じっくりと眺めてみよう

box5
撮影:埼玉県
災害対策の役割があったり、とても繊細な生き物であったり、年輪に特徴があったり…そんな桜の秘密を知ると、花見の楽しみ方や桜の見方が少し変わってきませんか?なんとなく眺めることが少しもったいないような気さえします。

今年はぜひ、様々な角度からじっくりと桜を眺めてみてください。新たな桜の秘密を見つけ出すことが出来るかもしれませんよ。

参考資料など

【参考・参照元】
桜をもっと楽しもうSAKURANET「植樹」www.kurobe-machikyo.jp/sakura/sodatete/syokujyu.html
一般社団法人日本植物生理学会「枝垂れるのは?」jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=486
「食と農」の博物館 展示案内No.66「樹木の形の不思議」www.nodai.ac.jp/syokutonou/exhibition/66/66.pdf
  • お天気トピックス
    もっと見る

  • 公式SNSアカウント