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「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」の想定被害額は?

東日本大震災で被災したJR気仙沼線の松岩駅周辺(2011年5月)

2019/04/13 23:09 ウェザーニュース

東日本大震災の被害額は、原発事故を除いて16.9兆円(内閣府防災担当)と推計されています。ちなみに阪神・淡路大震災の被害額は9.6兆円(国土庁)でした。では、今後発生が予想される巨大地震では、どれほどの被害額が想定されるのでしょうか?

被害額約17兆円!?

東日本大震災の被害額約17兆円は気の遠くなる金額です。あえてたとえると、2017年度の消費税額(当初予算)とほぼ同じ。それが巨大地震と津波で一瞬に失われたのです。
巨大災害の被害額は通常、被災地のストック(住宅、工場、ライフライン、道路、港湾など)に毀損率(どの程度壊れたか)を掛けて算出します。大雑把といえば大雑把ですが、個々の被害額を積み上げていては間に合わないのです。

M7級で東日本大震災の2.8倍

国の中央防災会議によると、マグニチュード(M)7級の「首都直下地震」が起きた場合、最悪で61万棟が全壊・焼失し、2万3000人が死亡し、建物やインフラなど被災地の直接被害額が47.4兆円にのぼると想定しています。東日本大震災の被害額の2.8倍です。

東日本大震災と違い、死者の7割は火災による犠牲と想定。都心部の木造住宅密集地で火災が同時多発するとみられています。帰宅困難者は800万人、避難者は720万人と試算されています。首都圏が被災するため全国に及ぶ経済活動への影響を含めると、被害総額は95.3兆円としています。

40都府県に及ぶ「南海トラフ巨大地震」

さらに大規模なのが、被害が40都府県に及ぶと想定されている「南海トラフ巨大地震」です。沿岸部は広範に津波被害を受け、全壊が238万棟、死者・行方不明者が32万人、避難者が440〜950万人と想定されています。

被害額は直接被害が81.8〜169.5兆円ですから、東日本大震災の5〜10倍になります。生産やサービス停止の影響を含めると105.7〜220.3兆円に膨れ上がります。

対策で被害を大幅に減らせる

いずれも莫大な想定被害額ですが、首都直下地震は住宅耐震化や地域での初期消火訓練などで被害を大幅に減らせるとしています。南海トラフ巨大地震の場合は、海岸堤防の整備、建物の耐震化な減災対策を進めれば被害は半減できるというのです。

東日本大震災から7年目を機に、来たるべき巨大地震への備えを改めて考えてみませんか?