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タイムに影響大 フルマラソンに最適な気温とは

2018/02/25 16:35 ウェザーニュース

今日は寒空のもと、東京マラソンが開催されました。やはり東京の2月下旬はまだまだ寒いですね。
〔リンク〕アメダス実況観測値

その寒い中をフルマラソンでは42.195kmも走るわけですが、よく考えてみると冬に行われるマラソン大会は多いものです。
奈良マラソン(奈良、12月)、勝田全国マラソン (茨城、1月)、 大阪国際女子マラソン(大阪、1月)、別府大分毎日マラソン(大分、2月)など、いずれも冬に行われています。

「気温」はマラソンに大きな影響を与える

そこで気になるのは、気温とマラソンのタイムの関係。感覚的には、暑いよりは寒いほうが好タイムが出そうな気がしますが、実際はどうでしょうか。

2012年に「フルマラソンの記録に影響する環境要因」(Impact of Environmental Parameters on Marathon Running Performance)という学術論文が発表されました。

この学術論文では、ベルリン、ボストン、シカゴ、ロンドン、ニューヨーク、パリの6つのマラソン大会において、気温、湿度、気圧などとマラソンのゴールタイムの関係を分析しています。対象になっている人数はなんと約180万人というから、かなり大規模な調査です。

この調査では、フルマラソンのタイムに最も大きな影響を与える環境要因は「気温」であると結論づけています。では、フルマラソンを走るのに最適な気温は何度なのでしょうか。

「最適な気温」は意外に低い?

学術論文では、走力別にベストパフォーマンスを発揮できる気温を男女別に割り出しています。たとえば「フルマラソンの記録の目安が3時間30分の男性」では「6.02℃」といった具合です。

総合的に見るとどうでしょうか。同論文によると、「概ね6~8℃が最適」ということです。けっこう低いですが、調査した大会の出場者の多くが欧米人であることも考慮する必要があるかもしれません。

この論文を筑波大学体育系教授でランニング学会常務理事の鍋倉賢治先生が分析しています。

鍋倉先生は、「3時間未満で走るトップ市民ランナーであれば、10℃以下が最適であり、それよりも遅いランナーの場合は11~13℃くらいまでは適温範囲です。一方、5時間以上かかりそうな人は、13℃以下の場合は寒さ対策も考えておくと良いでしょう」と話します。

東京マラソンの気温は何度?

東京マラソンの過去の気温はどうだったのでしょうか。2008年から2017年の過去10年間の気温データ(気象庁調べ)を見てみましょう。
東京マラソンのフルマラソンがスタートするのは9時10分です。50分後の10時の気温は3月に開催された2009年以外、すべて13℃以下でした。14時の気温も13℃以下が多いですね。例年の東京マラソンでは概ね適した気温のもと、走れることになりそうです。

今日の2018年大会でも、10時の気温は6.0℃、14時の気温は7.5℃と、まさに論文の「最適気温」付近で推移した形です。
設楽悠太選手が16年ぶりに日本記録を塗り替える好タイムでフィニッシュをしましたが、この好記録には今日の理想的な気温や、日差しが無かったこと、風が1〜3m/sと弱かったこと等が背中を押したのかもしれません。

今後マラソン大会に出場する人は、気温や天候、風などの気象条件も考慮に入れて、大会当日を迎えてみてはいかがでしょう。

〔リンク〕天気予報・週間予報
〔リンク〕ウェザーニュース記事一覧

参考資料など

「鍋倉教授の楽しく走ってステップアップ講座」(http://www.jognote.com/column/stepup/)
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