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陽を浴びないと気分が落ち込む!? “雪国うつ”って何?

2018/02/22 10:54 ウェザーニュース

「雪国うつ」という言葉をご存知ですか?雪国で暮らすと気分が落ち込む「うつ状態」になりやすいという報告があるのです。
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陽を浴びないと気分が落ち込む

「秋が深まると物悲しい気分になりませんか? 昼間の時間が短くなり、あまり陽を浴びないと気分が落ち込む傾向があるからです」と語るのは横浜相原病院(神奈川県横浜市)院長で精神科医の吉田勝明さん。

吉田さんによると、気分を左右するのは脳内伝達物質のセロトニンです。そのセロトニンは光が目の網膜を刺激することで分泌が盛んになり気分もハイになりますが、光を浴びる時間が短くなると分泌が減って気分が落ち込むのです。

雪国の冬の日照時間は極端に短い

都道府県(県庁所在地)の冬季(12月〜2月)の日照時間を調べました。全国平均407.5時間の半分の200時間以下だったのは青森・秋田・山形・新潟の4県。3ヵ月間で200時間足らずということは、1日2時間ほどです。

なかでも秋田県は148.5時間ですから、1日平均1時間半ほど。雪雲に覆われて何日も太陽が出ないこともあるでしょう。
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都道府県別の自殺死亡率と相関

うつ病の有病率の都道府県別データがないため、自殺死亡率を都道府県別で調べました。うつ病が高じると自殺する人が少なくないからです。

2016年の10万人あたりの自殺死亡率は全国平均17.3人ですが、20人以上は青森・岩手・秋田・山形・新潟・群馬・山梨・和歌山の8県ありました。先ほどの日照時間が極端に短い4県が含まれていました。やはり相関がありそうです。

自殺死亡率が高い東欧や北欧

「世界的に見ても、東欧や北欧など北半球の高緯度地方にあって日照時間が短い国は自殺死亡率が高いことで知られています」(吉田さん)

日本の自殺死亡率は10万人あたり17.3人ですが、2015年のデータでは、リトアニア(32.7人)、カザフスタン(27.5人)、ベラルーシ(22.8人)、ポーランド(22.3人)、ロシア(20.1人)と軒並み日本を上回っています。

光を浴びればうつ状態は改善する

「医師がよく、うつ病患者さんに、『散歩をして下さいね』とアドバイスをします。このことも暗に『陽の光を浴びてくださいね』と言っていることなのです」(吉田さん)

しかし、冬の雪国は散歩も難しいでしょう。吉田さんはこうアドバイスします。「日照時間が短いためうつ状態になっている人は、光を浴びれば改善します。屋外に出られなければ、人工照明を使う光療法を利用するとよいでしょう」

光療法に使うランプは5000ルクスから1万ルクス。ネットなどで4〜5万円前後で販売されています。ちなみに雨空が5000ルクス、曇り空が1万ルクス程度。人によって効果は違いますが、これを1日に30分〜1時間程度浴びれば、うつ状態が改善することがあります。

「雪国うつ」でつらい思いをしている人は人工照明を使って、日々の生活で効果的に光を取り入れましょう。
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