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雪が食べ物を美味しくする! 「雪ざらし」の秘密

2018/01/25 15:13 ウェザーニュース

「雪ざらし」とは、雪が紫外線を反射する作用を利用して、よく晴れた日に真っ白な雪の上に物をさらして、商品の価値を上げる日本の気候風土に合った伝統的な知恵です。

雪が持つ自然のちから

なかでも日本屈指の豪雪地帯で、過去には積雪深が3.7mという記録のある新潟県妙高市。シベリアから吹いてくる冷たい季節風が、日本海上を通過しながら湿気を帯びて、妙高山(標高2454m)などにぶつかると大雪をもたらします。

この地で「雪ざらし」で知られているのが、唐辛子の発酵食品「かんずり」。なぜ「雪ざらし」をするのか? 有限会社かんずりの東條邦昭会長にお話を聞きました。

大寒が合図

「『雪ざらし』は、「かんずり」の工程のひとつです。大寒(1月20日)の頃になると、塩漬けにした唐辛子を雪の上に撒く「雪ざらし」の作業を始めます。雪質にもよりますが、地場産の肉厚で大ぶりな唐辛子と糀(こうじ)を使って塩漬けした後、約3、4日さらします」(東條会長)
8〜11月に唐辛子を収穫する
約2ヵ月間塩漬けして、雪にさらす
「1月下旬から3月初旬まで、毎日、天気予報とニラメッコの日が続きます。日本海側が明るく北風が吹いていれば晴天ですが、朝から雪雲に覆われていると麓に雪を降らします。今年は30cmぐらいの積雪で例年より少ないですね。近年は黄砂の飛来もあり、3月に入ると早めに終えるようにしています」(東條会長)

「『雪ざらし』の効果は、唐辛子の強いアクを雪が吸い取り、塩抜き効果と共に辛味に旨味がプラスされ、繊維質が柔らかくなるのです。『かんずり』には欠かせません。しかし、回収が大仕事です。その後さらに降った雪でサンドイッチ状態の唐辛子を取り出しますが、時には1m近く掘ることもあります、ドカ雪はとくに困ります」(東條会長)

雪室も雪国の知恵

天然の冷蔵庫、雪室
このほかに雪室(ゆきむろ)というやはり古くからの知恵があります。雪の力で冷やす天然の冷蔵庫。雪室の内部は年間を通して温度0℃、湿度90%以上の一定した環境が保たれ、食品の乾燥を防ぎ鮮度を維持してくれます。特に野菜などは収穫時よりも雪室で保存したほうが美味しくなるといわれています。

織物や和紙も雪にさらされると…

新潟県小千谷などでは、江戸時代から雪の上に麻織物・竹細工などを並べる「雪ざらし」があります。織りあげられた布が雪原に広がる光景は雪国の風物詩。

これは織物を漂白させる効果があるといわれているのです。和紙の原料となるコウゾも「雪ざらし」を利用しています。富山県南砺市五箇山地方に古くから伝わる手法。コウゾを太陽にさらすと葉緑素が抜けて白くなるのです。

雪が食べ物を美味しくし、保存もできるということは、冷蔵庫や冷凍庫では得られない自然の持つ不思議なパワーの恩恵をいただくことでもあります。わたしたちはこうした大自然のはたらきを活用して生活してきたのです。まさに「温故知新」の精神ですね。
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