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全豪オープンは灼熱との戦い! 「エクストリーム・ヒート・ポリシー」とは?

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2018/01/25 17:50 ウェザーニュース

全仏、全英、全米と並ぶテニス4大大会の一つ、全豪オープン。大坂なおみ選手(世界ランキング72位)がベスト16に進んで注目されましたが、もう一つ注目したいのが夏真っ盛りのメルボルンでプレーを強いられる選手たちの灼熱との戦いです。

エクストリーム・ヒート・ポリシー

1905年に始まった全豪オープンは毎年1、2月に開催されますが、南半球の真夏に行われるため選手には不評でした。そして1998年に導入されたのが「エクストリーム・ヒート・ポリシー」です。猛暑対策といったところでしょうか。

「ポリシー」の導入当初は、気温が40℃に達したら全試合を中止するというものでしたが、2002年には38℃に引き下げられました。この年には、気温35℃の中で行われた女子の決勝戦が第2セットと第3セットの間に10分間の中断がありましたが、試合が中止されることはありませんでした。

たびたび変更された「ポリシー」の基準

2003年に「ポリシー」が気温35℃、暑さ指数28℃に変更されました。実際に気温が37℃、暑さ指数(WBGT)が28℃を記録したため、試合が2時間中断された日がありました。

暑さ指数というのは、気温に湿度と日射・輻射などを加味した指数です。ちなみに、日本体育協会は、暑さ指数が28℃以上31℃未満は厳重警戒(積極的に休息)、31℃以上は「運動は原則中止」という熱中症予防運動指針を設けています。

2014年には倒れる選手続出

2014年には猛暑で倒れる選手や観客が続出しました。41.5〜43.9℃の高温が連日続いたのに、主催者は「湿度が低いため“エクストリーム・ヒート・ポリシー”を適用する必要がない」と試合を続行したからです。

このとき、アンディ・マレー(イギリス)は「何か悪いことでも起こらない限り試合中断はないのか」と嘆き、試合を棄権した選手は「プレーしていたら死んでいただろう」と語っています。

暑さに強い選手もいた

暑さのために倒れたボールボーイを選手が搬出したり、靴の底やペットボトルが溶け始めるといったエピソードがある一方で、暑さに強い選手もいました。

たとえば、ロジャー・フェデラー(スイス)は「十分な練習と準備をすれば気候と折り合える」と語り、ジル・シモン(フランス)は前の試合でケガをしていましたが、「暑くてかえって調子が良かった」と言いました。

2015年の「ポリシー」変更

前年の不評を買ったにもかかわらず、2015年には「ポリシー」の基準を気温35℃から40℃に、暑さ指数28℃から32.5℃に引き上げ、最終的には審判が判断するとしました。ちなみに、気温が50℃でも湿度が低ければ暑さ指数が基準に達しないことがあります。

試合の放映権料は莫大です。そのため主催者は試合が中断して日程がずれるのを避けたいのでしょう。

今年も連日40℃超え

全豪オープンが行われるメルボルン・パークには3つの屋根付きコートがありますが、そこを使えるのは準々決勝以降。今回の全豪オープンも連日40℃を超え、過酷な暑さに選手たちから悲鳴の声も続出。

1月19日に行われた3回戦では、アリゼ・コルネ(フランス)がメディカルタイムアウトを与えられる場面(冒頭の写真)もありました。彼女は試合途中でめまいがしてコート内に仰向けに倒れてしまったのです。

メディカルタイムアウトでアイスベストを着用するなど応急処置がとられ、その後、試合に戻りましたが敗退。彼女は試合後、「このような暑さの中でプレーすることは危険です」と述べ、エクストリーム・ヒート・ポリシーの見直しを要求しました。

メルボルンから北東約700kmのシドニーでは1月初旬に47.3℃を記録し、全豪オープンの前哨戦とされる「シドニー国際」は試合がたびたび中断されました。地球温暖化がこれ以上進行すると、オーストラリアのテニス大会は日程を変更せざるを得ないかもしれません。

全豪オープンは今月28日が最終日。選手たちは対戦相手だけでなく灼熱との闘いを続けています。

参考資料など

「Australian-Open-revise-extreame-heat-polisy-years-vomiting-players-fainting-ball-boys/Dailymail」「Australian Open slammed for “inhumane”conditions in extreme heat/The Guardian 2014」「Australian Open 2014:Ivan Doding thought he may “die” after collapsing due to brutal heat/Daily Star 2014」「Players,officials affected by Australian Open heat/Burlington Free Press 2014」
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