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【火山】フィリピン ルソン島
マヨン山が噴火 噴煙一時2,500mへ

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2018/01/16 13:52 ウェザーニュース

フィリピン ルソン島の南部にある火山、マヨン山の活動が活発になっています。

1月13日(土)16時過ぎ(現地時刻)から、濃いグレー色の噴煙を上げる水蒸気噴火が発生。噴煙は火口上約2,500m(海抜約5,000m)へ上昇し、風下の南西方向へ流れています。
現地周辺は悪天候により山は雲に隠されがちですが、その後も断続的に噴火を続けているようで、火口上約1,000m(海抜約3,500m)程度の高さまで噴煙が上がっている模様です。

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警戒レベル1から3へ引き上げ

フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)は国民に向けて、マヨン山の噴火活動への警戒レベルを0〜5の6段階で設定して発表しています。
13日の噴火までは1年ほどレベル1の状態が続いていましたが、噴火後の14日0時30分にレベル2へ引き上げられ、14日20時にはレベル3へとさらに引き上げられました。

警戒区域内では火山噴出物の飛来や溶岩流、高温の火砕流、ラハール(泥流)、土石流の可能性があります。現地のハザードマップに従い、危険地域へは立ち入らないことが重要です。

また、季節風の風下にあたる南西側の地域では、火口から10km程度先でも降灰が報告されています。航空機はエンジンの出力停止など重大な影響を及ぼすおそれがあるため、周辺の空港を発着する便の経路の変更や欠航など、運航への影響が出るおそれがあります。

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溶岩が流れる様子が確認できる
15日夜には、溶岩が山肌を伝って流れている様子が確認できました。写真で見ると火口から左下(南西側)5合目のあたりまで溶岩が下り、赤く光っている様子が見えます。
マヨン山の溶岩は、昼間は太陽光の明るさにより黒っぽく見えますが、実際は高温のため、夜間は赤く光って見えます。

上空から撮影した噴煙の様子

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ウェザーニュース撮影

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ウェザーニュース撮影
上空から撮影された映像を見ると、山頂の火口から出てきた溶岩の一部が崩壊して山肌を下り、そこからも絶えず噴煙が立ちのぼっているようです。現在は南斜面方向に噴出物が下っていますが、他の方向へ流出して噴煙を上げる可能性があり、影響範囲が広がる可能性があります。

PHIVOLCSによると、昨年10月以降マヨン山では山体の膨張が解析されています。マグマの移動が続いている可能性があるため、今後さらに規模の大きな噴火へ発展するおそれもあります。

近年も活発な火山活動

フィリピンは太平洋火山帯に属しており、マヨン山は標高2,462mの成層火山(別名ルソン富士)です。近代は数年に一度の高い頻度で噴火を繰り返しており、岩質は玄武岩質安山岩でマグマの粘り気が少なく、噴火前の前兆現象なしに突然噴火したこともあります。1814年の噴火では溶岩が周辺の街を埋め尽くし、1,200人以上の犠牲者を出しました。

今後噴火の規模が大きくなると、現地の方々への影響だけでなく、東南アジア上空を飛行する航空機等へも影響が拡大する可能性もあります。今後の情報にご注意ください。
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