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おせち料理にこめられた先人の思いとは?

2018/12/17 13:56 ウェザーニュース

お正月に欠かせない食べものの筆頭といえば「おせち」。おせちの起源は諸説がありますが、古いものは弥生時代にはじまったともいわれています。

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年神様へのお供え料理だった

もともと日本には季節の節目にあたり、神様に収穫物をお供えする「節句(節供)」と呼ぶ習わしがありました。平安時代になると、節句(節供)の際、宮中では供えたものを自然の恵みに感謝しながら「節句(節供)料理」を食べていたといわれ、江戸時代に入ると、宮中だけでなく全国的にその風習が広まっていったのです。

五穀豊穣をつかさどる年神様へのお供え料理だったおせち料理は、不老長寿や子孫繁栄、家族の健康や安全など、幸せを願う縁起ものの料理。日本人の知恵や四季のうつろいを感じさせる食材が詰まった、まさに幸せを運ぶ和のスーパーフードです。

おせちメニューの意味は?

『魚がし日本一』などの和食料理店を経営する村田宜政さんが食文化に詳しいので、おせちメニューの意味を教えてもらいました。

「おせち料理は、それぞれに縁起や開運の意味が託されています。料理にこめられた先人の思いや意味を知れば、そのおいしさやご利益も倍増するはずです」
以下は、おせち15品目の由来と意味です。
■黒豆(くろまめ):「まめに(健康に、勤勉に)暮らせるように」という意味を込めた縁起物

■栗金団(くりきんとん):黄金色の布団や団子を意味し、「商売繁盛」など財運に恵まれることを祈願した食べもの

■田作り(たづくり):「田を作る」という語呂や「五万米(ごまめ)」の文字をあてて、一年の「豊作」を願う

■数の子(かずのこ):鰊(にしん)は子どもの数が多いことから、「子孫繁栄」の意味がある

■昆布巻き(こぶまき):昆布には「よろこぶ」(養老昆布)という語呂もあり、不老長寿の願いが込められている

■蒲鉾(かまぼこ):半円状の蒲鉾は、めでたい初日の出に似ていることから用いられる

■伊達巻き(だてまき):派手さや華やかさを表す「伊達」から、繁盛や繁栄といった願いが込められている

■ちょろぎ:シソ科の植物の茎部分を梅酢に漬けた「長老木」。「長老喜」といった文字をあてることもあり、長寿への願いが込められている

■海老(えび):海老のように「腰が曲がるまで長生きできるように」という長寿祈願の意味が込められている

■鰤(ぶり):鰤は成長とともに名前が変わっていく出世魚であることから、「出世」への願いが込められている

■膾(なます):にんじんと大根でつくる膾の紅白の色は水引を表し、平和や平穏を祈願する縁起のいい食べもの

■蓮根(れんこん):蓮根には穴が開いていることから、「将来の見通しがいい」「先見性がある」という縁起を担いだ食べもの

■慈姑(くわい):慈姑からは大きな芽が出ていることから、「出世」への願いが込められた食べもの

■菊花蕪(きっかかぶ):蕪をめでたい菊の花のように飾り切りをして酢漬けにした長寿を願う縁起のいい食べもの

■牛蒡(ごぼう):地中にたくましくしっかりと根を張る牛蒡は、縁起物として煮物に入る食べもの