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スマトラ島沖地震から13年!震源近くの島民を救ったものとは?

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2017/12/26 07:12 ウェザーニュース

2004年12月26日、インドネシアのスマトラ島沖で発生したマグニチュード9.1の巨大地震はインド洋に大津波をもたらし、周辺国に約22万人の犠牲者を出しました。しかし、震源近くに位置するインドネシアのシムル島では津波で亡くなったのは7人にとどまりました。何が多くの島民を救ったのでしょうか。

震源から60kmの島

「地震や津波を防ぐことはできませんが、被害を最小限に抑えることはできます。その典型が、2004年のスマトラ島沖地震津波の際のシムル島です」と語るのは、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦所長です。

シムル島は香川県ほどの面積(1800km2)に約7万8000人が住んでいます。震源から約60kmという至近ながら、津波で亡くなったのは7人だけだったのです。

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「日本の研究者が現地で調査していますが、1907年に発生した地震津波ではシムル島でも多くの犠牲者を出しました。その悲しい記憶が100年間、言い伝えられたというのです」(今村所長)

災害を後世に言い伝える

100年前の津波被害の言い伝えは、シムル語で「スモン(津波=Smong)」と呼ばれ、「♪もし強い地震が来たら、もし海の水が引いたら、高いところを探そう、自分の身を守るために」と節回しをつけ語られ、歌い継がれてきました。

地震津波の後に調査したところ、住民の88%が「スモン」を知っていた、72%が地震で「スモン」を思い出したといいます。

シムル島の近くにあるニアス島は、愛媛県ほどの大きさ(約5600km2)で住民は約72万人。この島の人は大半が地震後に津波が起こることを知らなかったため、700人近い犠牲者を出したといいます。

「シムル島の事例は、災害経験や教訓を後世に言い伝えることがいかに大切なのかを教えてくれます。地震や津波は過去から現在、そして将来に必ずどこかで繰り返し起きます。東日本大震災など大きな災害を経験した私たちは、100年後、200年後、さらにもっと先の人にも伝承していかなければならないと思います」(今村所長)
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