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航空機が「ダイバート(代替空港着陸)」になる気象条件

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2018/01/08 13:05 ウェザーニュース

冬季は航空機の欠航やダイバート(代替空港着陸)が多くなります。では、ダイバートになる気象条件とは何でしょうか。元日本航空機長の杉江弘さんに聞きました。
〔リンク〕この先の天候 長期見解

ダイバートは機長が判断

「航空機の運航は気象条件によって大きく左右されます。特に冬季は雪や風、濃霧の影響があります。そのため目的地の空港が悪天候で着陸できないと機長が判断した場合、ダイバートします。例えば新千歳空港が悪天候のため、近くの函館空港に着陸するという具合です」(杉江さん)

設備に応じたカテゴリー別の運航

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「実は気象条件ごとにそれぞれ滑走路の設備に対応したカテゴリーの運航があります。カテゴリー1運航とは、視程(RVR)550m以上、カテゴリー2運航は視程300m以上、カテゴリー3運航は視程175m以上の時に着陸できることになります。ちなみに羽田空港と成田空港はカテゴリー2運航、ヨーロッパの空港は気象条件が厳しいためカテゴリー3運航を行っているところが多い」(杉江さん)

新千歳空港は雪に注意

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雪の新千歳空港
「雪の影響を受けやすい空港は、新千歳、青森、秋田、稚内、女満別、旭川、函館。横風が多い中部空港、成田空港は濃霧が出やすい。」

ーー11日(木)から12日(金)にかけては、石狩湾小低気圧というパターンにより、新千歳空港周辺で大雪となる可能性があります。除雪による滑走路の閉鎖や、機体の翼に付いた雪の除去によるダイヤの乱れにご注意ください。
〔リンク〕天気予報・週間予報

「私の経験則では、成田の霧は、前日に降雨があり、その後強い寒気を伴った北風が吹くと霧が発生しています。しかし、霧は午前4時ころに発生し、午前7時30分ころには解消します」(杉江さん)

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霧に包まれた成田空港

ハイテク機は気象に強い

「空港のカテゴリー運航の話をしましたが、機体もハイテク機や小型機、大型機など種類によって着陸できる範囲は違い、ハイテク機は気象に強いですね。また、パイロットも経験や技量などによって進入着陸できる資格が異なります。航空機が悪天候のなかで着陸できるかどうかはこれまで述べてきた諸条件によって決まるのです」(杉江さん)

近頃は出発地へ引き返すことが多い

「いまは、目的地近くの空港にダイバートすることは少なくなっており、出発地の空港に引き返すケースが多くなっています。それは代替空港に降りたとしても、乗客の方々を最終目的地にお送りすることが、便数の増加などによって難しくなっているからです」(杉江さん)


冬季の気象は航空機の運航に大きな影響を与えますから、目的地の空港の雪や風、濃霧情報にも注意を払いましょう。

〔リンク〕天気予報・週間予報
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参考資料など

国土交通省HP:http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000402.html
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