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糸魚川大火から1年、“災害に強いまちづくり”の現場リポート

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2017/12/22 06:35 ウェザーニュース

2016年12月22日、新潟県糸魚川市の市街地で発生した火災は4ha(147棟)を焼失させた。亡くなる人はいなかったものの、145世帯、260人、56事業所が被災。それから1年後の被災地を取材した。

被災地では建設工事が進む

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酒蔵「加賀の井」が新社屋を建設中
1年前に焼け落ちた市街地を歩くと、いままさに工事用車両が行き交い、市道拡幅工事のほか、ところどころで住宅建設が進んでいる。

新潟県で最古、360年以上の歴史を持つ酒蔵「加賀の井酒造」も全焼。今は富山県黒部市の酒蔵を借りて酒を造っているが、元の場所で新社屋を建設中だ。

4haも延焼する大火だったから、復旧・復興には長い年月がかかると思われてるが、復興まちづくりは着実に進められていた。

火災発生5日後に住民説明会

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糸魚川駅にも「がんばろう!糸魚川」
市内のあちこちに「がんばろう!糸魚川」の看板を見かける。被災地復興の意気込みが伝わって来る。

糸魚川市復興推進課復興係長の渡辺茂さんが語る。「火災発生2時間半後に災害対策本部を設けて避難所を用意、5日後には住民説明会を開き、1ヵ月余りで本格復興に向けて復興推進課を立ち上げるなど、市は迅速な対応を心がけてきました。また、火災としては初めて被災者生活再建支援法が適用され、被災された方は経済的な支援を受けることができました」

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糸魚川市復興推進課の渡辺茂さん
ちなみに、市の職員は鎮火後、“火事場泥棒”を防ぐために、年末にかけて夜の巡回パトロールを行ったという。

加賀街道の宿場町だった

今回被災した地域は加賀街道の宿場町で、老舗の酒蔵や割烹店などもあり古くから栄えていた。しかし、幅員4mに満たない道路や昭和7年の大火後に再建された建物も多く、延焼には弱かったという。

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鎮火直後の被災地
「これまで住民説明会を重ね、個別意向調査やブロック別意見交換会を行ってきた結果、復興まちづくりは、“災害に強いまち”、“にぎわいのあるまち”、“住み続けられるまち”を3本柱にすることになりました。区画整理案はほぼまとまり、基盤整備を進めています」(渡辺さん)

今年10月には被災地のすぐ近くに「復興まちづくり情報センター」を開設し、復興に関する情報を発信したり、被災者の相談に乗っているという。

修復型のまちづくり

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大火から8ヵ月後にまとめた「復興まちづくり計画」(5年間)によると、被災地4haの基盤整備と建築物再建を進め、その後は被災地を含めた周辺17haもにぎわいの創出などを展開していくという。

「大規模な区画整理事業は長期間を要することや、スピーディな生活・事業再建を希望する声が多くありました。被災者のうち居住実態があった約220人のうち7割が戻って来て住宅を再建する見通しです。メインストリートには雁木(がんぎ=昔風のアーケード)を継承するなど修復型のまちづくりを目指しています」(渡辺さん)

被災者たちは、民間賃貸住宅を借り上げた“みなし仮設住宅”や公営住宅に暮らしながら、自宅や事業所を再建して元の暮らしを取り戻す日を待ち望んでいる。
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